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【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第6章 「元整備士」×「コルベットC7」



白鳥さんも止めに入り男を徐々に出入口から遠ざけると「佐藤さんは応援を! 君は先に別室へ!」と、的確な判断で誘導される。

ひとまず取調室を出ようとその場を離れようとした時だった。

「逃げるんじゃねぇ!」と男がさらに暴れだし今度は記録係の警察官を突き飛ばし、高木さんと白鳥さんに止められているにも関わらずその場を突破すると咄嗟に胸倉を掴まれうっ、と声が漏れる。

「近藤さん落ち着いて! 彼女がまだ犯人と決まった訳ではありません!」と高木さんが言っても「包丁から指紋が出だんだろ! 犯人じゃなかったらなんなんだよ!」と聞く耳を持たずその手を離す様子はない。ここにいる人達だけではこの男の人を抑えるので手一杯だ。

そう言えば、男は〝彼女に〟と言っていた。
何をするんだ、という感情よりも。真っ先に思ったのは大事にされているんだな。とそんなことだった。
確かに、私の管理ミスで人ひとり傷つけてしまった自覚はある。仮にも私は公安、そんな腐った精神なんてしてたら今頃上司から怒鳴られてクビにされてる。

私達警察官はいくら訓練をしたとはいえ、公務員でありプロの格闘家でもない。限度がある。

男が二人の隙をついて拳を振り上げる。

なんでもいい。殴って気が済むなら殴ればいい。元を言えば私の不注意で起こった事故。この人にはその権利がある。

私はぎゅっと目をつむり歯を食いしばった。

パンッ、と皮膚と皮膚がぶつかった音がする。したはずなのに、痛みも何も感じない。

「………もし殴ってしまえば、貴方も傷害罪で現行犯逮捕の可能性もありますよ」

その言葉に、聞き覚えのある声に、私は閉じっていた瞼をうっすらと開けた。

視界に移る振りかぶった男の拳を止めていたのは、モスグリーンのジャケットの袖。

「か…風見さん!?」

降谷くんは諜報員であるせいか、警視庁にいても滅多に見ることはないがまさかこんなタイミング良く風見さんがこの階に居合わせることなんてあるのか。

最初の会議とコナンくん達と会った時以降この階の会議室は使っていないはず。

なのにどうして。
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