【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
翌朝、引き続き張り込みの現場へ行くため朝食で入れた紅茶を飲み切った頃、家のインターホンが鳴った。
朝っぱらから一体なんの用かと開きかけだったリビングのカーテンから庭を覗くとそこにはパトカーが数台と赤色の覆面パトカーが一台止まっていた。ただならぬ様子に私は慌ててソファーにかけたジャケットを手に取って羽織ると玄関へ向かいドアを開けた。
そこには、この前ぶつかった女の人とその付き添いだった男の人が警察手帳を開いている。後ろにもスーツ姿の警察官達が数人いた。
「…どうしたんですか」
「警視庁捜査一課の佐藤です」
「同じく、高木です。…宮下さんですね?」
「そうですが」
「昨日の晩、渋谷でホテルから出て歩いていた女性を刺し、怪我を負わせた重要参考人として、署までご同行願います」
――――は?
その言葉に私は目を見開いた。
〝重要参考人〟それはまだ被疑者ではないが犯人かもしれないという可能性がある人のことだ。
「何かの間違いでは?」
「凶器からあなたの指紋が出ている」
「はぁ? 警察官が堂々と人を殺してなおかつ指紋も拭かずに証拠である凶器を置いていく馬鹿がいると思うの? 分かりやすすぎじゃないの? それに私は昨日ずっと張り込みでずっと上野にいた。ちゃんと調べたわけ?」
「それもすべて署で聞くわ」
「ならその手錠を閉まってくれる? 重要参考人なんでしょ、初手で犯人だと決めつける言動は相手の心理状況を混乱させてかえって悪影響だと警察学校で習わなかった?」
「同じ警察相手なら話は別よ、それも警察庁警備局警備企画課であれば拳銃は常時携帯可能になっている」
終わりのない水掛け論に私は重いため息を吐いた。
「そもそも凶器って、どうやったら凶器に私の指紋がついてるの」
「凶器にあったシリアルナンバーとロゴをもとに調査したところ、日本製のオーダーメイド品で刃渡り18cmの刺身包丁よ」
「……包丁?」
数秒後、私はまさかと思い慌ててリビングへ戻りキッチンへと向かった。背後で「待ちなさい!」と、声が聞こえる。けれどそんなこと、気にする余裕もなかった。
自分の中の確信的な何かが嘘であると。今すぐに証明が欲しかった。動揺で心拍数が上がってまだ肌寒い早朝であるにも関わらず酷く熱く感じた。