【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「皆がケーキを美味しそうに食べてる時、優しい目をしてた。私も………わかるの。心配してくれてありがとう」
そう言って哀ちゃんの頭を撫でれば不満げに手を払われた。
そう、あの時、アンダーはまるで父と同じように優しい目をしていた。でも、どこか悲しそうだったのが違和感で些細な時間だったが今でも覚えている。
さっきも言った通り、彼は料理人をやめたてフリーで今は世界中を飛び回っていると言っていた。
もしかするとそれになにか原因があるのかもしれない。
「哀ちゃんは、……化学とか医療系の本いっぱい取ってるけど、将来医者とかになりたいの?」
場の雰囲気を整えようと、私は哀ちゃんの顔を覗き込みながらそんなことを問いかける。
「……そんなところかしら」
「やっぱり。でも、気を付けてね。どんな美味しい食品でも体にいい薬でも量を間違えれば、一歩間違えたら………たとえ救おうと思って作った薬でも。守るために作った剣も。利用されて、兵器にされるからね」
その言葉に哀ちゃんは目を見開くと「……ありがとう。気を付けるわ」と小さく微笑むとそう呟いた。
「あ、そういえばお姉さん片づけて両手塞がってたから、テレビの前にケータイ置いちゃったけど大丈夫だった?」
「うん。別にみられて変なものはないからね。お気遣いありがとうコナンくん」
「えへへ……あ、あと博士食べたい!って言ってたから多分来ると思うよ!」
「ホント⁉ じゃあ今日は皆でパーティーだね!」
「まぁ、ローストビーフは脂質が少ないから今回は許してあげるわ」
哀ちゃんのその言葉にコナンくんと私は顔を見合わせて笑いあった。
黙々と本を読み進める二人のそばで一度リビングに戻って警視庁から配布されたタブレットとスマートフォンを持ってきた私はリアルタイムで更新されてくる情報を眺めふと時間を見れば、一番最初にリビングを出た頃から約45分が経過した頃、天井がバタバタと音を立て、地下の書斎までも騒がしさが反響する。
「上が騒がしいね」
「もう元太達が帰ったかも」
「寒すぎて耐えられなくなったのかな?」
笑いながらそう言えば、今度は地下の廊下の階段からバタバタと駆け下りてくる音が聞こえ、その音が近づいてきた途端。勢いよくバンッ!とドアを開けたのはアンダーだった。今いる部屋とは反対に冷たい空気が充満する書斎の空気が温度差によって入って来る。