【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「じゃあこれ終わったら三人で行こうか! 地下で寒いから上着はちゃんと羽織ってね?」
「はーい!」
テーブルを拭き終わり、哀ちゃんから使い終わった第拭きを貰ってキッチンで洗い流そうとすればふたたびアンダーが割り込み「君は子供達を」と、手に持っていた台拭きを奪われる。私はその言葉に甘え、庭にいる子供達に何かあればすぐに呼んでと念を押し、すでにコートとジャケットを着て準備満タンの哀ちゃんとコナンくんを連れて地下の書斎へと向かう。
地上よりもひと回り低い温度の廊下を歩き、地下の書斎へとつながるドアの壁にかけてあるベンチコートを着てドアノブを開ければ、壁一面に広がる本棚と廊下よりも少しだけ乾燥した空気が喉を刺した。
「本の状態を維持するために湿度と温度を低くしないといけなくて。ここ暖房も加湿器もないから、もし読みたい本とかずっといる場合はここじゃなくて隣に繋がるあの部屋に好きな本を持って読んでね」
そう伝えれば「はーい!」とコナンくんが返事をする。
「そういえば古い本がいっぱいだけど、ホームズの本とかあったりする?」
「推理小説? 推理小説なら出入口に近いところにいっぱいあるよ。多分英語のも交じってるけど……」
「わかった! ありがとうお姉さん!」
そう答えれば嬉しそうにコナンくんがその場所へと向かうのを見届ける。
一年生で推理小説なんて珍しい子だなぁ、なんて思っていると。知らない間に哀ちゃんがいないことに気づき辺りを一回転して見渡すとちょうど死角だった真後ろですでに何冊かの本を手に取っていた。
「持ってあげる」
そう言って哀ちゃんが手に持っていた本を持つ。
それに「…ありがとう」と呟くと他にも取りたい本があるらしく高いところの本は取ってあげたりと、最終的に取った本は12冊。すべて科学や医療についての本ばかりだった。隣の部屋へ持って行けば、その本を机に広げ悩んだのちそのうちの一冊を手に取るとソファーに座って読み始める。すると次はコナンくんが八冊程の本を両手で抱えて来たので慌てて代わりに持ち運ぶ。
哀ちゃんと同じように見やすいように広げてあげれば今度はシャーロックホームズに関する本ばかりが机に並んだ。
今どきの小学生は難しい本を読むんだなぁ…と思いながら哀ちゃんの座っているソファーの隣へ腰を掛けた。