【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
まだ小さい頃、それぞれの分があるにも関わらず自分の分を私に差し出してはそれを食べる私を嬉しそうに眺めていた頃を思い出す。
「………気持ちは、すっごく嬉しい。正直嬉しすぎて今にでも泣きそうだけど。けど、私も、お父さんとお母さんも、皆が美味しく幸せそうに食べてる方がもー--っと嬉しい。んだけど……? その場合は、どうしたらいいかな?」
そう伝えると元太くんと光彦くんが顔を合わせた。
「……なら、しょうがねぇな!」
「………余らすのも、作ってくれた人に失礼になってしまいますしね…?」
「ハイ! この話はもうおしまい。アンダーはもうお父さんのこともお母さんのことも子供たちの前で喋るの禁止。コナンくんは席に戻る!」
パンッ、と手を叩き重たくなっていた空気を仕切り直しダイニングテーブルに置かれたコナンくんの分のショートケーキを再びカウンターへと戻した。それぞれが再び席に着き、フォークを握ると今度こそと言わんばかりにケーキを一口大に切り分ける。フォークを落とすだけでスルスルと切り分けられてしまうほどに柔らかいスポンジとそれに絡みつくたっぷりの生クリームが皆の食欲をそそらせる。
ひとたび口にした途端、皆の目が見開いた。
「お、美味しい…」
珍しくコナン君が口走るとあの無口で大人しい哀ちゃんまでもが「本当だ…美味しい…」と呟いた。