【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「すまない、勝手にコーヒーなんて」
「いいえ、いいんです! 私こそ気遣いが足りなくて…」
「そんなことはないさ、子供達を一番に思うのは当たり前のことさ。じゃあみんな食べよう!」
そんなアンダーの言葉を合図にみんなが手を合わせ、静かだったリビングに「いただきまーす!」と子供たちの元気な声とあたたかな空気が行き渡たった。
温かいうちにまずはレモンティーをそのまま口に含むと、なぜかいつもより美味しく感じ思わず笑みがこぼれる。
「シュウゾウはコーヒーが好きだったから、もしいたら彼と一緒にコーヒーと一緒に食べようと思ってね。呼びきり甘いのを選んできたんだ」
「あ、アンダー! 気持ちは分かるけど皆が食べにくくなるでしょ!」
「あっ…! す、すまない…!」
そう止めに入るが時すでに遅く、皆のフォークを持った手が止まっていた。
「そう言えば、ケーキも人数分ぴったりだな…」
元太くんがそう声を下げて言う。
「皆遠慮しなくていいんだよ!残すのももったいないからね」とフォローを入れてもなかなかその手は進まない。横目でアンダーへ視線を向ければ「す、すまないと思っている…!」とおどおどと焦り始める。
すると元太くんが突然立ち上がるとショートケーキの乗ったお皿を持って私の元へやって来るとイチゴのショートケーキが乗ったお皿を私の前へ突き出した。
「…俺、ケーキよりうな重の方が好きだからよ! だから……これは姉ちゃんの父ちゃんの分だ!」
「じゃあ‼ 僕のは奥さんの分で!」
「お前ら……」
そう言って今度は光彦くんがお皿を持ってやって来る。
「じゃあ、歩美のは三人で三頭分して一緒に食べようよ!」
「あら、それなら私と江戸川くんの分も残ってるわよ」
すると今度はコナンくんがカウンターのハイチェアから立ち上がり、自分の手を持つとそれをダイニングテーブルの上に置いた。
「それに、レモンティーとこのクッキーも焼き菓子もすっごく美味しいですし!」
「十分すぎるくらいだよな!」
私はじっと、差し出された二つのショートケーキを見つめた。