【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
それぞれの好みに合わせるため、子供達が飲みやすいように砂糖やはちみつ、ミルクなどを揃えた頃に沸き上がったお湯を茶葉の入ったティーポットへと流し込み蓋をすると。
ダイニングテーブルへティーセットと一緒にポットをトレーに乗せ運び込むと暖炉であったかくなったリビングにふわりと甘いケーキの匂いと檸檬の甘酸っぱい匂いが広がった。
「いい香りね」
ソファーから顔を出しているのは哀ちゃんだ。
「そうでしょう? もうそろそろできるから二人もおいで」
そう伝えれば、香りに誘われるかのようにダイニングテーブルへやって来る二人。
甘いものの目の前では皆誰しもかなわないのは本当らしい。
「すまないが料理包丁はどこに? どこにも見当たらないんだ…」
「ああ、すいません! そのオーブンの横の細長い棚に!」
目線でそう知らせながらダイニングテーブルにティーカップを並べるとお湯を入れ二分程蒸したティーポットを持ちまだ熱いレモンティーを注いでいく。
最後に輪切りにした檸檬を浮かせてそのままテーブルに4つ、カウンターに3つとそれぞれ椅子の前において、真ん中付近に砂糖とはちみつとステンレスのミルク入れを置いた。
「本当だ、すごくいい匂いがする!」
コナンくんがテーブルのティーカップに鼻を近づけながら言う。
「そう言えば、皆は五人だったよね。一人テーブルには座れないね…」
そんなことを思っているとコナンくんが「僕はカウンターで皆はテーブルでいいよ」と言い先にカウンター前にあるハイチェアへとよじ登り座った。それにアンダーが「完璧なレディーファーストだね」とグッドサインを見せた。
ケーキ以外にも貰い物のお菓子を数個置き、切り分けた生クリームがたっぷり乗ったイチゴのショートケーキをアンダーが配っていると甘い香りに誘われたのか三人がタイミングよく帰ってくる。
「わぁすごい! お城でお茶会してるみたい…!」
「すげぇ…! めっちゃ旨そうだな……」
「すごくおっきなイチゴです…‼」
目の前に広がる光景をまるで宝石を見るかのような目で見つめる三人。
「皆席について、一緒に食べよう!」
そう声をかければ三人がダイニングテーブルにそれぞれが席に着く。
私はカウンターの真ん中の席に座ると、キッチンからコーヒーカップを持ったアンダーは空いていた一番外側の席へと腰を掛けた。