【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「それに申し訳ない。いないと思って置いて帰ろうと手土産のケーキを玄関の床に置いてしまったんだ」
アンダーはそう言って玄関前に置いてあった紙袋を拾い上げ袋の底を払う。その紙袋の中身を私が覗き確認するとホールケーキ一個分ほどの箱があった。
「ケーキ…⁉」
「ああ、とびきり美味しいところから取り寄せたんだ」
「と、とびきり…美味い…⁉」
とびきり美味しいケーキという単語に子供達が反応するのを見て純粋で素直な反応に私は思わずふっと笑う。
「なら遊ぶ前に皆でお茶して温まってから遊ばない? どうせ二人じゃ食べきれないから皆で食べよう! 皆で食べた方が絶対美味しいでしょ?」
「「「賛成~‼」」」
「哀ちゃんとコナンくんは?」
キラキラと瞳を輝かせながら、手を上げる三人と違ってやれやれといった笑みを浮かべる二人に私がそう聞けば頷いて微笑んだ。コナンくん達はまるで三人の見守り役でもしているかのようだった。
リビングへと案内すれば、「広ーい!」「めちゃめちゃ豪邸じゃないですか!」「かくれんぼとかできそうだぜ!」と声を上げてはしゃぎだすがコナンくんに「お前ら人の家だぞ、勝手に部屋に入ったりすんな」と注意されるのを見てやっぱり保護者っぽいかも。とも思ってしまう。
「大丈夫だよコナンくん。危険なモノとかもないし、もし興味があるなら探検しに行ってもいいよ。その間に準備して置くから」
「ホントか! じゃあ光彦、歩美行こうぜ!」
「あ、灰原さんとコナンくんは…?」
「私パス」
「僕もいいや」
哀ちゃんとコナンくんは探検には行かないらしく、二人を置いて三人はリビングを走って出て行った。その様子を見たアンダーは微笑ましく笑っていた。
リビングの暖炉に火をつけ、床暖のスイッチを入れる。リビングの入り口から入って左手にあるカウンターキッチンとそのカウンターにはハイチェアに四人用のダイニングテーブルが広々と置かれている。
既にキッチンでケーキの箱を開けているアンダーの背後で食器棚から人数分のロイヤルティーセットを持ち出せば、棚から檸檬ティーの葉の入った缶を取り出して、図り入れる。ヤカンで湯を沸かし、その間に冷蔵庫に置いてあった檸檬をいつの間にか輪切りにしてあったのを見てさすがは料理人とあってか手際の良さに感心した。