【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】
第6章 「元整備士」×「コルベットC7」
「結婚してからは、ずっと日本にいると聞いていていつでも遊びに来いと言っていたが……。 もしかして、急用かい?」
「いえ…実は…………亡くなったんです。五年前に交通事故で、お父さんもお母さんも」
その言葉を聞いた、コナンくん達が顔を上げた。
「それはいつなんだい?」
「結婚旅行から帰る途中の高速道路で、父のあのコルベットごと………焼死でした」
「新婚旅行の帰りかい…?」
「はい、本来は私も一緒に行く予定だったんです。でも学校との予定がズレて私だけ……」
それを聞いた歩美ちゃんが口元を覆い、アンダーは呆然と立ち尽くししばらくして空を仰いだ。
「すまない、まさか親友と夫人が五年前に亡くなっているとも知らずに私はのうのうと生きて手土産まで持ってきてしまったと思うと…」
「そんなに思いつめないで、きっとお父さんもお母さんもまた会えて喜んでる。恨んでなんかないよ」
「では墓参りをしよう。場所はどこかな」
「実は、骨も残ってないんです。全部、焼けてしまって………」
「そうか……そうか……すまない…………本当に…………」
そう言いながら肩を震わせてハンカチで目元を押さえるアンダーの背中を擦る。すると元太くんと光彦くん達が彼の足元で腕組みをする。
「おいおっさん! 男なら泣くんじゃねぇよ! この姉ちゃんがまだ生きてるだろうが! カッコよくても優しくても、男は強くないと何にも守れねぇぞ!」
「そうです! 男なら、命を懸けてでも守らなけれいけないものがあります!」
元太くん達の言葉を聞いて肩を震わせていたアンバーが少しだけ落ち着きを取り戻すとその場にしゃがみ込み再び子供達と目線を合わせた。
「君たちは本物のサムライのようだね。………そうだね。サムライ達の言う通りだ」
アンダーのその言葉に元太くんと光彦君が顔を見合わせた。
「シュウゾウは君のことをどんな車よりも、高価な家具よりも、地位よりも大切だと、宝物だと言っていた。君だけでも生きていてくれて本当に良かった。……ありがとう」
再びアンダーが立ち上がると今度は挨拶のような軽いハグではなく、まるで存在を確かめるかのような力強いハグだった。その言葉を聞いて、私もつい少しだけ涙ぐむ。