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【降谷零】SPARK × PUNK【名探偵コナン】

第5章 「元整備士」×「ポルシェ356A」



私の行動を正しいと言ってくれるだろうか。

何が正しくて、何がいけない?

「細すぎだ」
「一ヶ月は、固形物を食べれないって……あの、本当に…すいません………」

想像よりも遥か上をいった降谷くんの心配具合を前に、分からなくなってしまった。
大切な人も、家族もいない今。あの日国のためにすべてを捧げると誓ったあの夜から手に絆創膏を付けた時も、少し首元がかゆくて赤くなってた時も、意外にも真っ先に心配してくれたのは降谷くんだった。

今、私自身をこんなにも大切に思ってくれている人がいる。

私はどうしたらいい………?

犠牲なしに得られる平和は、この世に存在する?
でもその犠牲によってそれが、ひとりや二人ではなく数千人の犠牲を招くようなことを防げるなら――。

頭の中で始まる葛藤と罪悪感で行き場のない両手にぎゅっと力を込めた。

「もういい、無事なだけよかった。 ジンが絡んでいるんだろう」

そう言いながら私の肩を持ち目線を合わせる降谷くん。

「……ジン?」
「お姉さんのことを撃った人、どんな人だった?」
「黒い帽子と、銀髪……」
「その人がジンっていう人だよ」

隣でそうコナンくんが言う。

「いいか宮下、黒のポルシェ356A、ナンバーは新宿54 み 4368。これがジンの車だ。見かけたら絶対に近寄るな。いいな」
「おや、お客さんですか?」

背後からする声は、あの時の………沖矢昴さんの声だ。振り返ると服装も変装も声も何の面影もなく変わっている。声は、何かの機械で変えているんだろうか。

「ちょうどよかったです。貴方に聞きたいことが山ほどあります。なぜ彼女をここへ?」

「僕が呼んだんだ! 病院に行ったらFBIの人達にたまたま会ってね。 お姉さんまた狙われるかもしれないから新一兄ちゃんの家はどうかなって僕が言ったんだ! 沖矢さんもいるし、ひとりよりはこっちのほうがいいでしょ?」

コナンくんの言葉を聞いた降谷くんの険しい表情が落ち着いてくる。

「隣には博士もいるし、もしもの時は小五郎のおじさんも蘭姉ちゃんも来てくれるって言ってたし!」

降谷くんはコナンくんに向けていた視線を私に戻した。

「私がいると、集中できないでしょ。私は大丈夫、信じて」

そう言いながら降谷くんの肩を少し押すとゆっくりと肩を掴んでいた手が離れた。
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