第12章 指輪とそして
「写真っていえば、海底5万マイルの出口のところににいっぱい写真が貼ってあったよ!」
歩美ちゃんが元気よくそう言った。
確かに、アトラクションの1番盛り上がるところで自動で写真を撮影してくれるサービスがあったな。
「今ならまだその写真、残ってるかもしれないですね」
「そうね、急いで確認しに行くわよ」
そう言ってさんは自分の携帯番号が書かれた紙を受付の女性に渡し、カバンを探しに来た人物が現れればすぐに連絡するように頼んでいった。
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「あ!あったあった!歩美たちが写ってる写真!」
その写真には、子供たちを除く4人の大人が映っていた。
子供たちの話を聞くに、
ゴルフのスイングをしていた男性、野球のピッチングをしていた男性、サッカーの日焼けがある男性、水泳の跡がある女性だということがわかった。
そのうち、ゴルフの男性のみが左利きとだということが判明。
すぐに呼び出してもらったのだが、
「これが、僕の荷物ですけど」
そう言って差し出されたカバンは薄い手持ちのバッグ。
高木さんのリュックとは似ても似つかないものだった。
さらに子連れだったこともあり、ゴルフの男性は運び屋ではないと断定された。
「でも、他に左利きの人なんていなかったよ?」
「野球の人は右手でピッチングしてましたし、サッカーの人と水泳の人は利き手がどっちかなんて分かりませんしね」
うーん、とみんなで頭を悩ませているとさんが口を開いた。
「確か、ピッチャーって肩に負担をかけないように投げる方と逆の肩で荷物を持つわよね」
「ということは、ピッチングをしていた男性が右ピッチャーで今もどこかで野球をやっているとしたら、右肩を守るためにバッグは左肩に背負っていた可能性が高いですね」
佐藤さんも賛同した。
でも、それだけでピッチングをしていた男性だと判断するのは早い気もするが。
「高木刑事!さっき言ってたシミが着いているハンカチ、見せてくれない?」
「これかい?」
そう言って高木さんから受け取った少年は、そのハンカチの匂いを嗅ぎ始めた。
「やっぱり、これグローブオイルの匂いがするよ」
「じゃあ、運び屋はあの野球の男性で間違いないみたいね」