第12章 指輪とそして
「ねぇねぇ、お姉さんの隣にいるのって彼氏?」
「今日は佐藤刑事たちと同じようにデートしに来てたんですか?」
子供たちがキラキラした目でさんに質問している。
「いやいやいやいや違う違う違う。
この人は私の部下。今日はデートしに来た訳じゃないわよ」
全力で首と手を振るさん。
そ、そんなに否定しなくても…
「そうなのか?」
元太くんが俺に聞いてきた。
「そ、そうだよ!俺はただの部下さ!はは!」
「あら、なんだか悲しそうだけど?」
綺麗な赤茶の髪の女の子、確か哀ちゃんだったかな?がそう言ってきた。
もう、うるさいな!
「そんなことより、佐藤、さっきあなたが持っていた物って…」
「あ、はい。これです」
そんなことで片付けられてしまいました。
再び仕事モードに入ったさんに佐藤さんが先程の袋を渡した。
「これは、完全に麻薬ね。大体1kgってところかしら」
手に持って重さを確かめるさん。
「ねぇ高木くん、そのバッグはあなたのものではないのよね?
どこで入れ違ったか分かる?」
「え、あー、そういえば、海底5万マイルのアトラクションに乗った時に1度だけ荷物を預けました。きっとその時に入れ違ったのかと」
「それなら、まずは海底5万マイルのところに行くわよ」
そしてさんを先頭にみんなで海底5万マイルへと向かった。
______
「そのようなバッグをお届出になった方は誰も…」
バッグの届出はないか受付の女性に聞いたところ、期待していた返事は得られなかった。
「変ね」
「はい。あれから2時間も経ってるのに…」
さんと佐藤さんが頭を悩ませている。
それもそのはず、麻薬1kgとなればその末端価格は数千万円以上になる。バッグの入れ違いに気づいたならばすぐに血眼になって探すはずだ。
すると、メガネの少年が神妙な顔で話し始めた。
「恐らくそのバッグの持ち主は、中身が何か知らされていないただの運び屋だろうな。でなきゃ…
「でなきゃ、呑気にバッグを預けてアトラクションに乗るなんて考えられない。でしょ?コナンくん?」
「え、う、うん」
ニコニコでそう少年に言うさん。
そんなさんの様子に困惑気味の少年。