第12章 指輪とそして
その後さんに、佐藤さんと高木さんの尾行と称して色んなアトラクションに連れ回されました。
船のようなものに乗って岩場を探検していくもの。
大きな滝から飛ばされるように落ちていくもの。
海の生物が描かれた可愛らしいメリーゴーランド。
どれも楽しかったかと聞かれれば、
…はい、楽しかったです。
というより、
「見て青柳!恐竜いる!!」
「落ちるー!きゃー!」
「青柳ー!やっほー!!」
まるで子供のように楽しんでるさんがとても新鮮で、なんというか、
可愛かった。
いつもはバシッとスーツを着て、髪をまとめて、怖い目付きで書類を睨んでるのに、今日は白のブラウスにデニムのパンツで長く綺麗な髪を下ろしている。おまけに飛びっきりの笑顔でこちらを見てくるもんだからそのギャップがすごい。
ただでさえ元は美人な上にスタイルもいいから、上司ってことを忘れて普通に見惚れてしまいました。
いや、早まるな俺。いつもの鬼上司の姿を思い出せ!
そう思いながら、俺は両頬を叩いた。
「何してんの?」
「あ、いや、ちょっと精神統一を…」
「あ、見て!2人でベンチに座ったわ」
木の影から佐藤さんと高木さんを覗いてるさん。
本当に悪趣味だと思います。
「お、高木くんがカバンから何か出そうとしてるわね…
もしかしてプレゼントかしら!」
「ちょっとさん、見すぎっすよ」
「あの紙袋の中身は何だろ?
……何、あの白い粉。
もしかして薬?」
すると突然さんが仕事モードになった。
さっきまでバレないように尾行していたはずなのに、突然佐藤さん達のもとへ走り出して行ってしまった。
俺も急いで追いかける。
「佐藤ー!!」
「え、さん!?何でここに?」
「えっ!あ、えーと、たまたまよ!たまたま!」
急いで走っていったわりに考えてなかった様子のさん。
たまたまは無理があると思いますよ。