第11章 揺れる
「良かったんですか?大切な同期の仇なんでしょ?」
あの後、佐藤と高木くんを含む捜査一課の刑事たちは、コナンくんの指示通りに犯人がいるであろう歩道橋へと向かって行った。
私はと言うと、青柳が運転する車で本庁へと戻っているところだ。
「ええ、私は刑事じゃないし。
それに、あの子たちならきっと犯人を逮捕してくれるから」
私の復讐は3年前に終わっている。
あの日、あの悲しみが、何も出来なかった私への復讐なのだから。
「で、2つ目の爆弾はどこにあるんすか?」
「はぁ、聞いてなかったの?
あの暗号文から東都タワーと爆破予告時間を意味する文を除くと
『俺は剛球豪打の
メジャーリーガー
さあ延長戦の始まりだ
出来のいいストッパーを用意しても無駄だ
最後は俺が逆転する』になる。
メジャーリーガーは、英語に直せというキーワード。出来のいいストッパーは防御率が良い投手のこと。
英語で延長戦はEXTRA INNING GAMES。防御率は略してERA。
EXTRAから無駄なERAを取ると、残るのは“XT”。
XTを縦に書いて最後に逆転すると“文”という漢字になるでしょ。学校を示す地図記号にね。
そして、1つ目の爆弾の液晶に表示されたヒントがEVITだったらしいの。これは探偵の英語表記DETECTIVEの綴りを逆にして並べた文字の最初の一部。そして探偵(たんてい)を逆にすると帝丹(ていたん)。
後は、小中高大ある帝丹という名の学校からこの冬休みに生徒が大勢集まってる場所を選ぶだけ」
「へーなるほど」
「ま、全部コナンくんの受け売りなんだけどね」
「あの少年、一体何者なのなんでしょうね」
「さあね」
江戸川コナン
私の宝物を、あの大切な日々を守り抜いてくれた、
私の騎士(ナイト)。
ふふ、ますますあの子に興味が湧いたわ。