第11章 揺れる
『依然二人は救出されないまま、時間は残り1分を切ろうとしています!
たった今、機動隊にも待避命令が出た模様です!』
続々とその場から待避していく機動隊を縫うように、佐藤が東都タワーへと駆け出した。
そんな佐藤の腕を掴み制止する。
もし、爆発が起きても、佐藤にあの破裂音が聞こえないように、あの爆風に襲われないように、あの焦げた匂いを感じないように、
佐藤の頭を私の胸にギュッと当てて抱きしめる。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
あの日の私と同じように、佐藤が大きく叫んだ。
大粒の涙を目に溜めて。
4、3、2…1……
何も、起きなかった。
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周りは大きな歓声とともに、2人の無事を喜んだ。
あのコナンくんが、爆弾を無事止めたそうだ。
しばらくして、2人がエレベーター内から救出され、高木くんが機動隊とともに佐藤の元へと来た。
「あ、あの、佐藤さん…」
「バカね、自分を責めないで!
さぁ、残り2時間半、もう1つの爆弾を見つけましょう」
「あ、いや、実は…」
そう言って佐藤に耳打ちをする高木くん。
手招きされて、私も高木くんからの話を聞いた。
『実は、コナンくんが2つ目の爆弾の在処を突き止めまして…』
「「え!?」」
驚く私たちに、高木くんは頷く。
そして、盗聴している爆弾犯にバレないようすぐさまその2つ目の現場へと爆発物処理班が急行した。