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【名探偵コナン】sangría

第11章 揺れる



___私は電話で松田の殉職を知らされた。

当時、異動したてで引き継ぎやらなんならに追われていた私は、まる1週間家に帰れないでいた。
やっとの思いで仕事を片付け、6日にはみんなで萩の墓参りへと行くことが出来た。
そして、翌日に休暇を貰っていた私はその日はそのまま家に帰ったのだ。

久しぶりにみんなに会えたこと、1週間ぶりの家ということが重なって緊張がほぐれたのか、帰宅してからは死んだように眠ってしまった。


そうして、目覚めたのは翌日の夕方。
あまりにも長く眠りについていた自分に驚きつつも、ニュースを観ようとテレビを着けた。

その日が11月7日だということを忘れて












『本日未明、杯戸町にある大観覧車が、解体作業中の警察官1名を巻き込んで大爆発を起こしました。2つ目の爆弾は既に解除されており、警察は4年前の爆弾テロと同一犯とみて捜査を……』

寝ぼけた頭で全てを理解するには限界があった。
アナウンサーが言ったことを何度も何度も頭の中で反復し、必死に内容を理解しようとしたが、無理だった。
本能的に拒否していたのかもしれない。

ぼーっとテレビの画面を眺めていると、突然電話が鳴った。
画面の表示には目暮警部。
1週間前まで自分の上司だった人物の名前を見て、心臓が大きく鼓動した。

ゆっくりと携帯を手に取り、震えた手で耳元へと持っていく。


「……はい、です」

『目暮だ。突然すまんね。どうだ?新しい部署には慣れたか?』

「ええ、まあ、ぼちぼち」

『そうか、まあ、君は優秀だからな!どこにいてもやって行けると思っとったがね!』


電話先での目暮警部の声は明るくて、まるで取り繕ってるかにも思えた。


「…すみません、ちょっとこの後用事がありまして」


そう言いながら、電話を切ろうとした。
一刻も早く切りたかった。
目暮警部が本当は何を連絡したかったのか、この先にどんな言葉が待っているのか、そんなの分からない。
分からないけど、どうしても聞きたくなかった。

『ちょっと待ってくれ!
電話をしたのは、こんな話をするためではないんだ…
君に、伝えなくてはならないことがある』

何かを決意したかのような声色で、目暮警部がそう言った。
お願いだから、やめてくれ…
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