第11章 揺れる
『爆破予告時間まであと20分を切りました!!
爆弾と一緒に取り残された少年と警察官は未だに救出されていません!!
時間は刻々と過ぎていきます!
果たして、その2人の運命は…
あの東京のシンボルと共に消滅してしまうのでしょうか?』
「なにぃ!?コードを切れないだと!?残りは三本だけだぞ!?」
固唾を飲んで見守る我々の耳に、そんな言葉が聞こえた。
途端に佐藤は、電話の主から携帯を奪った。
「高木くん何してるの!?早く切りなさい!!
……何言ってんの!?時間はあと10分しか…」
電話越しに叫ぶ佐藤が止まった。
段々と目に涙を溜めながら「バカ……」と言って、携帯を持ち主へと返す。
「高木くん、何だって?」
「…勇敢なる警察官よ、君の勇気を称えて褒美を与えよう。試合終了を彩る大きな花火の在処を。表示するのは爆発3秒前。健闘を祈る。
そう、液晶パネルに表示されたそうです。
行かないで欲しいのに…、佐藤さんならわかってくれますよねって言われて私、止められませんでした……」
そう言って、佐藤は拳を強く握った。
目にはどんどん涙が溢れていく。
そんな佐藤を抱きしめることしか、私には出来なかった。