第11章 揺れる
車を走らせている間、備え付けの無線機から
『至急至急、警視庁内から各局!
港区東都タワーに爆弾が仕掛けられた可能性が強い!
各局にあたっては現場に急行し、東都タワーの立ち入り禁止及び付近住民の避難措置を取れ!』
と、連絡が入った。
「まじで東都タワーじゃないですか…
流石です」
「喋ってないで急いで」
「は、はい」
周りからパトカーのサイレンも聞こえてくる。
急がなきゃ、被害を出さないために…
もうあの悪夢を、繰り返さないために……!!
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我々が到着した頃には、既に佐藤が現着していた。
「佐藤、状況は?」
「さん…!
30分程前に小さな爆発が起き、それによりエレベーターが停止。
中に子供が1人閉じ込められましたが、高木巡査部長及び居合わせたコナンくんらによる救助で無事脱出。
しかし、再び爆発が起きて今度は高木くんとコナンくんの2人がエレベーター内に閉じ込められ、爆発によりロープが全て切れて非常停止装置が作動し、真ん中の展望台と1階の中間あたりで停止している模様です」
居合わせたコナンくんという部分に疑問を抱きつつも、まぁあの坊やなら有り得るか…と自己完結する。
「爆弾は?」
「爆弾は…エレベーターの天井裏でコナンくんが発見したとのことです。でも、エレベーターが止まったショックで水銀レバーが作動。そのせいでレスキュー隊も無闇に出動出来ない状況です」
水銀レバーか、やはり3年前と同じ。
仕掛けたのは3年前の爆弾犯に間違いないな。
「爆発物処理班が出動していないようだけど、まさか…」
「はい、2人に、爆弾を解体させます」
なるほど、大方爆弾の近くに盗聴器でも仕掛けられているんだろう。
爆発物処理班が動いたり警察関係者が近づけば遠隔で爆発させる魂胆か。
「でも、きっと大丈夫です!
爆弾の構造は3年前に米花中央病院に仕掛けられたものとほぼ一致したので、あの2人なら何とかやってくれます!
私、他の子供たちを避難させてきますね」
そう笑顔で言う佐藤の手は、やはり震えていた。
佐藤の言う通り、爆弾の解体は恐らく心配いらないだろう。
3年前のように、悪魔の声に耳を傾けなければ……