第11章 揺れる
由美が飲み物を買ってきてくれている間、私は病室に戻って再びFAXの内容について考えていた。
『血塗られたマウンドに登れ』から察するに、やはりキーワードは赤だろう。
3年前の事件と同じだとすると1つ目の爆弾は、警察を誘い出すためにわかりやすい場所に仕掛けられているはず。
もっと単純に考えるんだ。
赤…赤……、ポスト…消防車…赤鬼…トマト……
あーー分からないっ!!
考えながら顔を上げたその先には、窓から大きく東都タワーが見えた。
赤…登る…鉄の…箱……
そうか…!
“東都タワーのエレベーター”か!!
そう思い立った瞬間、私は急いで病室を出た。
すると、ちょうど飲み物を買って戻ってきた由美に鉢合わせた。
「ちょ、さん?!どこ行くんですか!!」
「ごめん!!白鳥君をお願い!!!」
そう言って病院内を駆け出す。
「ちょっと、走っちゃダメですよーー!!!」
遠くから由美の叫ぶ声が聞こえた。
悪いがお構い無しに走る。
というか、由美の声でか。
胸ポケットから携帯を出して電話を掛けた。
「あ、青柳?悪いけど車出してくれない?
場所は送るから、急いでちょうだい」
『は、えっ、ちょっ、』ツーツー
青柳が話す間もなく電話を切った。
______
病院の下で青柳の車を待つ。
あーもう、遅い!!
これじゃあタクシーを捕まえた方が早かったか。
そうこうしていると、青柳の車がやっと見えた。
「ったく、遅い!!」
「これでも頑張ったんですって!!
もう、さん突然言うんだもん」
「タイムリミットまで残り3時間を切ってるわ。急がなきゃ」
「まさかさん、爆弾の場所わかったんすか?」
「ええ、場所は東都タワーのエレベーター。
そこに、1つ目の爆弾が仕掛けられているはずよ」
そうして私達は、東都タワーへと急いで向かった。