第10章 私のせい
そして、その日の夜、
「本っ当に似てたんですよ!!
まあ、ワイルドさは松田くんの方が何枚も上手でしたけど」
居酒屋に由美と2人で来た私は、由美から今日会った出来事についての話を聞いていた。
変装した高木くんがどうにも松田にそっくりだったらしく、今その写真を見せられている。
「まあ、確かに似てるわね」
「これ見た瞬間、美和子、高木くんをひっぱたいてめっちゃ怒ってたんですから!『どーしてそんな格好するのよ?!』って」
「あらら、可哀想に」
「その後、高木くんの車が爆発して…
あ、高木くんは無事だったんですけど、美和子が取り乱しちゃって。
燃えてる車から高木くんを助けようと火傷を負っちゃったんですよ」
…やっぱり、3年前の爆弾事件は佐藤の中でトラウマになっているのか。
無理もない、目の前で松田が爆発に巻き込まれてしまったんだから。
それもこれも、全部私のせいだ。
「結局、3年前の爆弾犯を装った郵便局強盗の仕業だったらしいんですけどね」
「……佐藤は、3年前のこと、まだ引きずってるのよね」
「…ええ、時々死神が見えるとか何とか。
だから大切な人を作るのが怖くて、高木くんとの事も踏み込めないみたいです」
「…そう」