第1章 桜と出会いと
次の日
容赦なく知識を詰め込まれまくった午前の授業を終え、私は一目散に食堂へと向かう。
今の私にとって、毎日を生きる希望となっているのはこの美味しい昼食だけなのだ
ほう、今日のメニューは鮭のムニエルと照り焼きチキンソテーか
どっちも捨てがたいな…
「ちゃん」
「うわッ!!」
食堂の入口にある「今日のメニュー」と書かれたサンプルを凝視しながら唸っている私の背後から、突然名前を呼ばれた
「びっくりした萩か…」
「教室で声かけようと思ったら、ちゃんチャイムなった瞬間にすぐいなくなっちゃうんだもん」
「走ってどこへ行くのかと思えば、まさかこんなところで飯を睨みつけながら仁王立ちしてるとは思わなかったぜ」
「っ、悪かったわね!食べるの好きなの!」
萩の後ろからポッケに手を突っ込みながら歩いてくる松田を睨みつける。なんでこいつはいつもそんな言い方をするのか。
あんただって昨日、ご飯のお代わり3回していたくせに
「まあまあ
ささっ!ちゃっちゃと席とりに行かないと、6人分はきちーよ?」
「え?6人?」
「降谷ちゃんたちの分も頼まれてんのよ。どうせなら、昨日みたいに一緒に食べません?」
「…まあ、別にいいけど」
「そんなこと言って、お前の顔嬉しそうだぞ」
「うるさいな!ほら、席とるんでしょ?行こ」
私の顔を覗き込みながら突っかかってくる松田をどかしてさっさと歩き出す。
別に嬉しいとかは思ってないし
単に、昨日ちょっと楽しかったからってだけだし
ふたりと共に無事6人分の席を確保して、私たちは配膳の列へと並んだ