第1章 桜と出会いと
その後、なんやかんやでふたりと喋っていると、「おい」とまたも背後から声をかけられた。
声の方へ振り向くと、今度は降谷くんとその隣に爽やかな美男子が立っていた。今日はよくイケメンに話しかけられる日だな。
振り返ったはいいものの中々喋り出さない彼らに首を傾げていると
「ほら、ゼロ」
諸伏くんが小声でそう降谷くんに伝える
「……今朝はどうもありがとう。おかげで助かった」
ぎこちないながらもそう伝えてくれた降谷くんに思わずふっと笑いが零れる。
「こちらこそ、大した怪我じゃなくて良かった」
「俺からもありがとう。ゼロったら怪我してもほっときがちだから」
そう微笑みながら伝える彼の後ろから光が見える。これが、イケメンの正しい使い方なのか…。
「諸伏景光くんだよね?私、」
「俺の名前知ってたんだ!よろしくねさん。
こいつは降谷零。俺はゼロって呼んでる」
「おいヒロ勝手に「いいじゃんか。こうでもしなきゃ、ゼロ友達出来ないだろ?」
そう言って、諸伏くんが降谷くんへ微笑みかける。この笑みには流石の降谷くんも敵わないらしい。
ふたりの様子を見ていると余程仲が良いのだと伝わってくる
「降谷ちゃんも諸伏ちゃんも、良かったら一緒に昼飯食おうぜ!隣空いてるし」
空いているのは私の隣であって萩の隣ではないがな
しかし、諸伏くんから「いいの!」と笑顔で問われれば笑顔で承諾する以外の選択肢は無くなる。こいつも中々のやり手だな。
諸伏くんは私の隣に、降谷くんは諸伏くんの前、松田くんから1席空けたところに座った。
そしてしばらくすると伊達くんが「俺なしで水くせーじゃねぇか」と言いながらドカンと松田と降谷くんの間に座る。
いつもより賑やかな場所で食べる昼食は、いつもよりちょっとだけ美味しく感じた。