第6章 私の大切な
『では、百田陸郎警視総監より祝辞を…』
いつの間にか、式は結構進んでいるようだった
「おっ!陣平ちゃん大チャンスじゃねぇか!!」
「確か、警視総監をブン殴る為に警察学校に来たんだったな」
「「マ、マジで?!」」
伊達の言葉に驚きを隠せないヒロと私。
てか、動機しょーもな!!
「ヒロと班長!松田を押さえて!!こいつ本当にやりかね…「バーカ殴るかよ、ガキじゃあるめぇし」
ゼロにかぶせて、自信満々で話すその姿は、まさにガキそのものであった。
ま、松田らしいか。
『卒業証書授与!』
おっと、ついに式は終盤へ突入しているようだ。
『卒業生代表…
代表なんて、もちろん
降谷零!!』
我らがゼロに決まっている。
「はい!!」
座学も実技も、結局ゼロに敵うことなんて無かったな。
本当に凄いやつだわ、あいつは。
そんなことを考えながら、舞台へと歩き出したゼロの背中を眺めていた。
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「はーー!やっと終わったーー!!」
「式、結構長かったね」
「特にあのハゲの話がな」
「松田、ハゲ呼ばわりは良くないぞ」
「いいじゃねぇか!卒業したんだし」
…そっか、もうしちゃったんだ、卒業。
「ん?どうしたのちゃん」
「いや、卒業したから、みんなと会えるのもこれで最後かなって」
やばい、口に出したら急に寂しさが襲ってきた。
「何言ってやがんだ」
「…え?」
「ちゃんが言ったんだよ?これから先もずっと一緒って」
「海、行くんだろ?ま、僕は山がいいけどな」
「これで最後になんてするわけないよ!」
「定期的に集まって、飲み会でも開こうじゃねぇか!
なんなら、今から行くか?卒業祝いとして」
もちろん、自分で言った言葉を忘れていたわけじゃない。
ただ、やっぱりみんな配属先は違うわけで、忙しいことにも変わりはなくて、こうやってだんだん疎遠になっちゃうのかなとか、少しだけ寂しかったり。
でも、覚えててくれたんだ
……嬉しいな