第6章 私の大切な
そして、前髪をそのままに、迎えた卒業式当日
「ちょっと美和子!勝手に触ったら怒られるよ?」
「おいそこの女子大生2人!!汚ねぇ手で触ってんじゃねぇぞゴラァ!!」
教官のFDに興味がある様子の女子大生に向かって松田が叫んだ。
「せっかくボディー直したってーのによォ!」
「ちょ、松田ガラ悪いって!」
「それより式!式!」
「あと10分だ!」
「急ごう!」
松田の肩を持ち、式の会場である講堂へと急かす。
あと10分って、ギリ間に合うか…?
「君たち…警察官に興味があるのか?
もしそうなら、見学来ていくといい。今日は僕達の卒業式なんだ。
誇りと使命感を持って、この国の人々を守り抜く決意があるのなら」
ゼロが先程の女子大生に話しかけている。
ったく、急いでんのに何やってんのよ!!
「ちょっとゼロ!!早くしないとまじで間に合わないって!!」
「ああ!今行く!」
そうして、みんなで講堂までダッシュした。
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『諸君!卒業おめでとう!君たちはこれから幾多もの困難に……』
ハゲちょび…校長からのありがた〜い話が始まった。
絶対長いなこれ。
「ところで陣平ちゃん、さっき制服のままでどこに行ってたんだよ?」
そういえば、ゼロもヒロも揃っていない時があったな。
私は萩と伊達と一緒にいたけど、何してたんだろ。
「ああ、ヒロの旦那が兄貴への手紙に写真入れてぇつーからよ、ゼロと一緒に撮るの付き合ってやったんだよ!」
「ああ!ヒロのお兄さん長野県警なんだっけ?」
「うん!どうしても制服姿を見せたくてさ
近所のコンビニでインスタントカメラを買って撮ったんだ!」
「でも松田、その手紙を出す前に写真を確認するって1度開けてたけど、ちゃんとポストに入れたんだろうな?」
相変わらず、ゼロからの信用が薄い松田だな。
「おうよ!出しといてやったぜ!
……この通り、男前にしてな♡」
自信ありげに見せてきたその携帯には、実際とは異なる、ヒゲ面のヒロの姿が。
「警察官になりたてでヒゲはありえねぇだろ?!」
伊達の指摘に、不満そうな顔をする松田。
「イケてると思ったんだけどよ…」
「松田、お前なァ…」
「ヒロ!言ってやんな!」
「…確かに、ヒゲ面も悪くないな」
「「「……」」」
「え?何?」