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【名探偵コナン】sangría

第42章 決意と



─── 気が付くと、頭に布袋を被せられて床に寝かせられていた。
あれからどれくらい時間がたったのだろうか。
彼は無事か?パーティーはどうなった?今私はどういう状況だ?
場所がどこか確認出来ないが、床がカーペットでやわらかいことを考えるとここはホテルの一室だろう。
ひょっとすると、先ほどの会場上にある客室なのかもしれない。
腕は縛られているが、幸い足は自由だ。袋さえ取れれば、ここから抜け出せる。

もぞもぞと動いていると、ガチャと扉が開く音がした。


「ん?なんだ起きてんじゃねぇか」


その声と同時に、頭の袋が乱雑に取り払われる。
目の前に現れたのは、無精髭を蓄えたいかにもな犯罪者面の男だった。その手にはナイフが握られている。


「やっぱり、結構いい女だな」


その男を取り囲むように、武装した男が数人部屋の中に立っている。
この男一人であればすぐに制圧できたかもしれないが、この人数では歯が立たない。せめて手元に拳銃があれば状況は変わっただろうが、生憎今は持ち合わせていない。


「……あなた、誰」

「お前、バーボンの女だろ?」


私の質問は当たり前に答えられることなく、強引に顔を掴まれそう問われた。

バーボン……ということは、やはりこの男は組織の人間か?


「知らないわよ」


掴まれた手から逃れるように顔を背ける。


「手、ほどいてもらえる?窮屈なんだけど」

「おーおー中々肝っ玉な女だな。嫌いじゃないぜそういうの」


そう言いながら、男は私の露出した背中をゆっくりと撫でた。
そのあまりの不快さに背筋が震える。


「安心しな。もうすぐあいつも来るだろうよ」

「……あいつ?」

「バーボンだよバーボン。元はただ殺すだけのつもりだったが、それだけじゃつまんねぇからな。
お前を出しにあいつをおびき寄せて、目の前で散々お前を甚振ったあとに2人共殺してやるからよ」


やはり、こいつが彼を狙っている輩か。
随分ペラペラと喋ってくれてありがたいものだ。
確証があるわけではないが、“始末”ではなく“殺す”と表現している辺り、組織の人間ではないのかもしれない。
大方、組織に関わる任務中に恨みを買ったといったところか。
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