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【名探偵コナン】sangría

第42章 決意と



まさか、あのベルモットが私宛にこのドレスとパンプスを送ってきたのか?
何故?何のために?
そもそも、なぜ私の家の住所が分かったんだ?

箱にもドレスにも靴にもカードにも、発振器や盗聴器の類はついていなかった。
だが、カードの裏に意味深な英文が記されてる。


『Kentucky's not getting another round.』


another roundとは、バーで「もう一杯ちょうだい」とお願いするときによく使われる表現。
そしてここで言うKentuckyとはアメリカのケンタッキー州のことだろう。バーでのスラングを使っているあたり、ケンタッキーも何か酒を表しているのかもしれない。
ケンタッキー州と言われて真っ先に思い浮かぶ酒と言えば、世界の95%以上をケンタッキー州で生産していると言われるバーボンウイスキーだ。
ということは、バーボンは組織のメンバーのコードネームだろう。
つまりこの文章は『バーボンにはもう一杯は回ってこない』『バーボンにはもうチャンスがない』というような意味だと捉えることが出来る。

バーボン―――ミステリートレインでボヤ騒ぎがあったあの時、かろうじて聞こえてきた酒の名前。
煙だらけのあの空間で、ゼロが話していたのを聞いた。

……もしかしなくとも、バーボンとはゼロが組織から与えられたコードネームなのではないか?
だとすると、このカードに記されている内容は『バーボンが始末される』ということなのかもしれない。
ご丁寧に、英文の下にはとあるホテルの名前と日時が記載されていた。

―――十中八九、この日この場所でゼロが殺される。

これは、明らかに罠だろう。
ベルモットがなぜ私とゼロの繋がりを知っていたのか。なぜ私にこの内容を伝えたのか。
その真意は一切分からない。
ここへ行けば、確実に私の身の保障はない。
それでも、ゼロが殺される可能性が少しでもある以上、無視することなんて出来ない。
絶対に。


今まで彼女に遭遇した二度とも、私は何も出来なかった。周りに庇ってもらうばかりだった。
だが、もう怯えてなんていられない。
絶対に守ってやる。


指定された日時は、来週の日曜日。
その日に向けて、私はすぐさま準備に取りかかった。
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