第41章 真相を知るとき
楽しそうに音を奏でるヒロを見ていると、ここが薄暗くて埃っぽい資料室だってことを忘れてしまう。その横顔に見惚れながら、優しい音色に耳を傾けた。
最後の和音を弾き終わったのを合図に、私は両手をぱちぱちと鳴らす。
「流石ヒロ!上手だね」
「ギターで国家はシュールだったね」
「そう?とっても素敵な音色でございましたよお兄さん」
互いに顔を見合ってははっと笑みを零す。
「ねぇ!次はヒロの好きな曲が聞きたいな」
「え?んー、好きな曲か。
…じゃあ、は歌ってね」
「えっ」
驚いている私に構わず、ヒロはその前奏を奏ではじめた。
懐かしい音が紡がれる中、ヒロはこちらを見てにこりと微笑んでいる。
私は、意を決して息を吸った。
「うーさーぎおーいし かのやまー
こーぶなーつーりし かのかわー」
私が声を出すと、ヒロは嬉しそうにギターへ向き直った。
この歌を歌うのなんて何年ぶりになるのかも分からない。だが、意外にも歌詞は覚えていて途切れることなく最後まで歌いきれた。
ギターの音が鳴り終わると、今度はヒロがぱちぱちと両手を鳴らした。
「の歌声は綺麗だね!聞き惚れちゃった」
「そ、そうかな」
あまりに率直に褒められるものだから、なんだか気恥ずかしくなって思わずそっぽを向いた。そんな私の顔をヒロは構わず覗き込んでくる。
「オレ、の歌声好きだなー」
「んもう!分かったってば!」
何が面白いのか、ケラケラ笑うヒロを緩く睨む。
「ていうか、なんでふるさと?中々に渋いチョイスだね」
「国家をリクエストした人には言われたくないな」
そう言いながら、ヒロはギターを抱くように持ち替えた。
「最初に覚えたのがこの曲なんだ。小学校の頃、預けられた親戚の家でギターを見つけてからちょっとずつ練習してた」
「え、独学?」
「ううん、一緒にあった入門書を読みながら」
「でも、1人で練習してたんでしょ?すごいよ!やっぱりヒロは努力家だね」