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【名探偵コナン】sangría

第41章 真相を知るとき



「…自分に銃口を向けた時、どれだけ怖かったか。引き金を引くことが、どれほど勇気のいることか。
そんなの、誰にも想像もできない…!
本当なら、一生知らなくていいことのはずです……!!」



それなのに、なんでヒロがそんな思いをしなければいけないんだ。
なんで、そんな事に勇気を奮わなければいけなかったんだ。
誰かを守りたいと願った人間が、何故そんな仕打ちを受けなければならないんだ。

溢れそうなものを押さえつけるように、私は両手で顔を覆った。



「…私の大切な同期は、そんな惨い死に方をするような人じゃない……」



まだ、やりたい事が沢山あったはずなのに。
これから先の人生が、希望で満ちていたはずなのに。
全て、その一瞬で終わってしまった。
それも、自らの手によって。



……私だって、ヒロと行きたい所も食べたい物も見たいものもいっぱいあった。
もう一度、その背中に飛び込めると思ってた。名前を呼んでくれると思ってた。笑いかけてくれると思ってた。

でもそれも、もう二度と叶わないんだ……ーー。




「……ごめんなさい、帰ります」


このままここにいたら、怒りも悲しみも憎悪も後悔も溢れておかしくなってしまう。


そうして私は、鳴り止まない心臓を片手で押さえ付けて、工藤邸を飛び出した。
日付なんてとっくに回った真夜中の住宅街を、孤独にただひたすら走った。

走って走って、車通りも殆どない真っ暗な道で唯一明かりを灯してくれている街灯の付け根に、足を抱えてしゃがみ込んだ。
自分の心臓の音が、耳の中でうるさく響いている。
それを押え付けるように体を必死に丸めるが、何をしたってこの心臓は鳴り止む気配がない。
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