第41章 真相を知るとき
「……亡くなった4人の同期の内1人は、なぜ、どこで、どうやって死んだのか分からない。自分には、知ることが出来ない。君はそう言ったな」
確かに、そんなことを零した。
私は肯定の意をもって静かに頷く。
だが、今になって何故そんな話を掘り返すのか。目の前のこの人は、一体何について話そうとしているのか。
全く見当がつかないと言いたいところだが、なんだか嫌な予感がしてならない。
「…その人物は、警視庁公安部の人間だろう」
「……なんで、知ってるんですか」
思わず大きく目を見開いた。
確かに、今までこの人には幾度か口を滑らせたが、同期の所属までは一度も話したことはない。
ましてや公安だなんて、知っている人間はごく一部のはず。
警察のデータベースにさえ載っていない情報なのに、何故赤井さんがそれを知っているのか。
「やはり、そうか」
私の反応を見て、赤井さんは何かを悟ったようだ。
そうして再び俯くが、今度は顔を上げることなく静かに語り始める。
「その男は、俺や降谷君と同様例の組織に潜入をしていた」
「……は?」
突然何を言い出すんだ。
あまりに突飛すぎて、全く頭がついていけない。
「優秀だったあの男は早々にコードネームを与えられ、幹部として様々な任務をこなしていた。俺とも時々組まされていたよ」
そんな私に構うことなく、赤井さんは話を続けた。
段々とうるさくなる鼓動に気付かないふりをして、必死に耳を傾ける。
「……だがある時、その男が公安所属のNOCであることが発覚したんだ。組織は早急に男を始末しようとし、その任を俺が請け負った」
嫌な汗が流れてくる。心臓の鼓動は速さを増して、嫌でもその存在を主張してきた。
その続きを、聞きたくない。……いや、聞きたい。聞かなければいけない。
手汗を感じる両手を、私は強く握った。