第40章 絡繰箱
「箱も無事開けられたことだし、俺達も帰るか」
「そうだね。コナンくーん!帰るよー……っていない!!」
「ねぇ、博士も昴さんもいないんだけど」
そろそろお開きといった所で、彼らの姿が見えない。
ま、大方キッドの正体を詰めているところなんだろうけど。
……はぁ、私はまたこの役目か。
「みんなすぐ戻ってくるわよ!きっと、うん、!」
「…私、ちょっとコナンくん探してきます!」
「あ、いやいや、大丈夫だって!多分トイレかどっかに行ったんじゃない?」
「おいおいまたかよ」
「そうよ蘭!待ってれば戻って来るって」
「そうかな…」
心配そうな蘭さんの背中を押しつつ、私たちは図書館の駐車場に出た。
もし図書館の中を探されて、彼らと鉢合わされでもしたらたまったもんじゃない。
全く、毎度毎度地味に大変なこの役目を押し付けられるこっちの身にもなって欲しいものだ。
「お待たせ!」
その後、十数分経ってから3人が戻ってきた。
「コナンくんどこ行ってたの?」
「ちょ、ちょっとトイレに…」
「ガキンチョあんた、どんだけトイレ近いのよ」
この様子だと、残念ながら怪盗キッドには逃げられてしまったようだ。
ま、今日も今日とて宝石は盗んでいないからコナンくん自ら見逃したのかもしれないけど。
「博士は?お腹はもう大丈夫なの?」
「あ、あぁ」
「…何?」
「い、いや!なんでもないです…」
口ごもる阿笠さんに哀ちゃんが疑いの目を向ける。
恐らく、今回キッドが化けていたのは阿笠さんだろう。トイレで眠らされていたところをコナンくんが助けたといったところか。
無事に戻ってこられて何よりだ。
「じゃあ、皆さん戻ってきたことですし、そろそろ帰りましょうか!」
お守り要因としての役割も無事果たすことが出来たので、これにて私はお役御免だ。さっさと帰ってお風呂に入ろう。
「……さん」
駐車してある自分の車へ向かおうとしたとき、沖矢さんに引き留められた。
「はい」
「今日この後、少し時間をくれませんか。あなたに言いたいことが…いや、言わなければいけないことがあるんです」