第40章 絡繰箱
「その後すぐ主人に取り上げられてしまって…。
それ以来その交換日記を目にしていないのですが、アレは一体なんだったんでしょう。その見つからない紙と何か関係があるのでしょうか」
ーー…『主人は、とてもシャイでしたので』
ーー…『主人のお母様に直々に教わったんですのよ』
ーー…『その日記が、とても不思議なものだったんです』
……なるほど、そういう事か。
事のあらましが大体分かったぞ。
そして先ほどから思考を巡らせているであろう彼の方を見やると、顎に手を当てた状態からニヒルに口角を上げていた。
どうやら、彼も突き止めたようだ。
紙の在りかも、箱の本当の中身も…ーー
「何っ!?絡繰箱の開け方が書かれた紙の在りかが分かっただと!?」
「うん!みんなが一生懸命探してるのに、どうしてその紙が見つからないのもね」
コナンくんの言葉に、私と沖矢さん以外が首を傾げた。
「じゃあ、手帳とペン貸してくれる?」
「はい、これでいい?」
私が差し出した手帳を「ありがとう」と受け取ると、コナンくんはその手帳の適当なページを開いた。
「まずはページの1枚を破って、破った紙をまた半分にちぎって、ちぎった紙の表と裏に丸印を書く。
はい!この紙よーく見て覚えて」
言われた通り、渡された紙を凝視する毛利さんと蘭さんと園子さん。
「覚えたら、手帳の間に挟んてくれる?」
「ほらよ」
「ありがとう。
それじゃいくよ?チチンプイプイ紙よ消えろ!」
なんとも可愛らしく魔法を唱え、今度は手帳ごと毛利さんに差し出した。
「もう紙見つからないよ」
「バカ言ってんじゃねぇよ!
んなもん、こうやりゃすぐに……あれ、」
何度かパラパラとページを捲るが、どうやら挟んだ紙は見当たらないようだ。
「まさか、こっそり紙を抜き取ったんじゃ…!」
「そんなことしないよ。だってさ…ほら!ちゃんと挟まってるでしょ」
コナンくんの手にある開かれた手帳の中には、確かに丸印のある紙が挟まっていた。
「ええっ!」
「うそ、どうして!?」
「タネはページの端っこ。
紙が挟んであるページの端の下の方が少しちぎってあるでしょ?こうやっておけば、パラパラ捲る時に指に掛かからないからこのページだけ飛んじゃうんだよ。
みんながその紙を見てる隙に、ページの端っこをちぎったんだ」