第40章 絡繰箱
ご主人から「君に開けるのは無理かもね」と言われた友寄さんは、その後も悔しさから紙を探したそうだが、結局見つけることは出来なかったのだという。
「だったら、奥さんが普段手に取らないような本に挟まってるんじゃないっすか?」
「そうですねぇ。私が読まないのは、人が亡くなるミステリーとか恐ろしい怪奇小説とかでしょうか」
「その類いの本なら、上のあの辺にまとめてあるわい」
ということで私達は、そのジャンルの本から順に一冊ずつ調べていくことにした。
上の方にまとめられていたため、階段式の踏み台を用いて何冊かを一気に取り出していく。
すると、作業の最中に突然毛利さんが激しく咳き込んだ。
「ゴホッゴホッゴホッ!!」
「だ、大丈夫ですか?」
「お父さん、一旦手を止めて病院でもらった咳止めの薬、トイレで飲んでくれば?」
「わぁったよ」
「トイレに行くならワシも」
「ボクも」
阿笠さんとコナンくんも、毛利さんの後に続いてトイレへと
席を立った。
「なんか、あたしもトイレ行きたくなってきちゃった」
「そうだね。私たちも行こっか」
「じゃあ、作業は私と沖矢さんと哀ちゃんで進めておくわね」
「お願いします!」
「ええ、いってらっしゃい」
手を振りながら2人を見送くる。
あ、そういえばさっき女子トイレの前を通った時だいぶ混んでたな。蘭さん達が戻ってるくのは少し時間がかかるかもしれない。
そんな事を考えながら、棚から取り出した本を1冊手に取った。
「さん、これ見てください」
沖矢さんに呼ばれてそちらに目を向けると、目新しい表紙の小説を何冊か手に持っていた。
「これ、全部ミステリー小説のようですよ」
「えーすごい!初めて見るものばかりです」
沖矢さんから1冊もらい、ペラペラページをめくってみた。
「残念ながら紙は無さそうですね。
でもこれ、とても興味深いです。普通に面白そう」
「こっちはエラリー・クイーンの著書ですね」
「わ!本当だ!
私、エラリー・クイーンの国名シリーズや悲劇シリーズを結構読んでたんですけど、それは初めて見ます」
「工藤氏の書斎になら、この珍しい小説たちも揃えてあるんでしょうね」
「確かに。この部屋に劣らず数多のミステリー小説をお持ちですからね」