第40章 絡繰箱
「となると、怪盗キッドより先に箱を開けるには、むやみに箱を弄るより箱の開け方が書かれた紙が挟まっているというその本を探した方が早そうですね」
ということで、私達は友寄さんが寄贈したという本がまとめられている部屋へと移動したのだが…、
「「「えっ!?」」」
私達を待ち構えていたのは、壁一面を覆い隠すほどの大量の本であった。
「ざっと見積もって1万冊じゃ!
探し甲斐があるじゃろ?」
いや、これは探し甲斐がある所の話じゃないだろ。
1万冊って言ったら、工藤先生の書斎くらいあるぞ。
「ちょっと待って。この中の1冊にあの絡繰箱の開け方が書かれた紙が挟まってるんでしよ?この数をどうやって探せばいいのよ」
「んなもん、1冊ずつ調べるしかねえだろ」
園子さんに対し毛利さんはそう答えると、本棚から何冊か本を取り出して1冊1冊パラパラとページを捲り始めた。
「ったく、こんなこと俺たちが来る前にやっといて欲しかったぜ」
「もちろん、儂のスタッフ総出で丸1日かけて探したが、紙は見つからんかったよ」
「「「えぇっ」」」
「流石に1万冊じゃから1ページずつ読み込むんじゃなくて、今毛利探偵がやってるようにパラパラと捲るだけじゃったがな」
ま、丸1日探したのに見つからなかったのか……。
しかし、普通何かページの間に挟まっていたならそのページがピラッと開くはず。パラパラ捲るだけでもどうにか見つけることは出来るだろう。
だとすると考えられるのは、ご主人がその紙をどこか別の場所に隠し変えたということ。
だが、ご主人はつい先日交通事故に遭い不運な死を遂げている。それを予見して隠し場所を変えるなんてありえないか。
「確か、ご主人は10年間箱を開けていないんですよね?」
「それは私が見ている所ではということです。私が留守にしている時はこっそり開けていたようですけど。
出先から帰宅した際に『紙が同じページに挟まってるって事は、箱はまだ開けられていないんだね。もしその紙を見つけられたら、箱の本当の中身も見つけられるはずなんだけど』とよく言われていましたから」
「“本当の中身”ということは、絡繰箱の中には月長石の他に何か入っているということでしょうか?」
「さ、さぁ?私は開けたことが無いので何とも…」