第40章 絡繰箱
「やっほーさん!」
「どうも、ご無沙汰してます!」
「2人ともこんにちは!それにキッドキラーくんも」
「その呼び方はやめて欲しいな…。
さんも来てたんだね」
「えぇ、お守り要員として相談役にお呼ばれしたのよ」
「え、お守り…?」
コナンくんが首を傾げた。
分かるぞ意味わかんないよな。私も分からん。
「ささ毛利探偵。参られて早々で悪いが、この絡繰箱を見聞なされ」
「なるほど、これが噂の絡繰箱ですな」
「どこか押したり引いたりすれば開くようなんじゃが…」
「んなもん、こうやって力ずくで…!」
阿笠さん話なんてお構い無しに、毛利さんが箱を無理矢理両手で開こうと試みる。
だがしかし、どこか変な所を押してしまったらしく箱から飛び出してきた鋭利な針に小指を刺されてしまった。
痛ってぇ!!と悶える毛利さん。そんな毛利さんを嘲笑うかのように、箱から『成敗』と書かれた赤い扇子が顔を出した。
どうやら、下手に弄ると針が出てくる仕組みのようだ。なるほど、だから阿笠さんの手が絆創膏だらけだったのか。
はは、流石三水吉右衛門の絡繰箱。まるでミニ鉄狸だな。
「じゃあ、万力で押さえて切っちまえばいいんじゃねぇか?所詮木なんだからよ」
「ダメですわ」
毛利さんの提案をバッサリと却下したのは、この絡繰箱及び月長石の所有者である友寄公華さん。
「それはかの有名な絡繰箱、三水吉右衛門の作品。その箱自体、中身の月長石と同じ位の価値のある品ですのよ」
「でも月長石って、そんなに高くはないんじゃ…」
「ネットで1万円位で売ってるのよく見るし」
女子高生達がそんな話を零した。
確かに、手軽な宝石として職場で若い子たちが話題にしているのをよく耳にするな。
「何を仰いますの!箱に入っているのは、主人がわざわざ原産地であるスリランカに足を運び買い付けた一品。月の光に似た青い光彩(シラー)が綺麗に出ている、まさに……」
「アデュラレッセンス」
なんだか聞き覚えのある声が、友寄さんの話に割入ってきた。
……おいおいまじかよ。
「その特殊効果が見られるブルームーンストーンは、価値が高い。しかもその大きさなら、確かに三水吉右衛門の絡繰箱と釣り合うかもしれませんね」