第40章 絡繰箱
「おぉ!警部、よくぞ参られた」
「ご無沙汰してます、鈴木相談役」
図書館の中に入ると、相談役が例の絡繰箱と共に出迎えて下さった。絡繰箱は、赤いテーブルクロスの引かれた丸い机に鎮座している。
「これが例の…」
「あぁ。早速じゃが、こちらの絡繰箱を手に取って見聞して下され」
言われるがまま、机の上の木の箱を手に取ってみる。
綺麗な寄木細工が表面を覆っており、さほど重さは無い。
色々仕掛けが施してある様だが、恐らくこれらの仕掛けをを順番通りに解かなければ開かない仕組みになっているのだろう。
「なるほど、これは開けるのに骨が折れそうですね」
「左様。実際、お主より先に来ておる阿笠博士が色々と試してみたが……」
「あはは、この有様じゃ」
そう言いながら登場した阿笠博士の手には、数多の絆創膏が貼られている。どうやら、この絡繰箱を開けるのに四苦八苦したらしい。
「阿笠さんもいらしてたんですね」
「発明家ということで、わしも相談役から招待されたんじゃよ。絡繰物には慣れておるからの」
「の割には、怪我するだけして何の役にも立っていないようだけど」
「あ、哀くん…」
言わずもがな、博士の付き添いは哀ちゃん。
大分手厳しいご意見に、博士はしょんぼりとしている。
「ところで相談役、私は今回何故呼ばれたのでしょうか?
阿笠博士がお手上げなら、私にこの絡繰箱が開けられるとは到底思えないのですが…」
「あぁ願掛けじゃよ」
「が、願掛け、ですか…?」
「警部が来る時は何故か宝石が盗まれんのよ。
それに、鉄狸の時もお主がいてくれたお陰でルパンが救えたようなもんじゃからの」
お守り代わりじゃ、と話す相談役はガハハと高笑う。
いや、そんな神頼み的なポジションで呼ばれても。私、ただの警察官ですし。
「なんだなんだ?図書館の中一般客だらけじゃねぇか!」
そう言いながら、ポケットに両手を突っ込んだ毛利さんが登場した。その後ろには当たり前に蘭さん、園子さん、そしてコナンくんもいる。
やはりいつも通りのメンバーだ。