第40章 絡繰箱
『怪盗キッドに告ぐ!!
今宵、鈴木大図書館にて世界最大の月長石“月の記憶(ルナメモリア)”を展示する。
なお、宝石は三水吉右衛門の絡繰箱に入っており、拝みたくば自力で開けるか、開け方が書かれた紙を本図書館で探されたし』
翌日、
やはり鈴木次郎吉相談役から怪盗キッドへの挑戦状が朝刊にデカデカと載っていた。ついでに言うと、この記事はネットニュースでも上位にあがっている。
いつもの如く大々的な宣伝をかます相談役だが、これはもはや盗んでくれと言っているように思えてしまう。
まぁ、今回はお馴染みの三水吉右衛門作の絡繰箱らしいから、そう簡単にはいかないと思うが。
適当に仕事を片付けて、約束の時間に合わせて車を走らせる。
そうして、目的地である鈴木大図書館に着く頃には、既に大勢の機動隊と2課の刑事が入口を陣取っていた。
「お疲れ様です、中森警部」
「!?お、お前また邪魔しに来たのか」
「人聞きの悪い!私は邪魔なんて1度もしたことありませんよ!
それに今日は、きちんと捜査協力を受けてここに来たんですから」
「捜査協力だぁ?国対のお前がなんで」
「さぁ?相談役ご本人に聞いてください」
正直、私自身呼ばれた詳しい理由は未だに分かっていない。相談役のことだから、きっと何か考えがあるのだろうけど。
「にしても本当に大変ですね、2課は。怪盗キッドが絡むと毎度毎度出動させられて。いい加減捕まえたらどうです?」
「出来たらやってるわ!!」
「あはは、ですよねー。
今日こそ捕まえられるよう、どうか頑張ってください」
それじゃ、と言ってその場を去った。
なんだか後ろで色々言っているのが聞こえるが、気にしない気にしない。
どうせ今日も、いつもの如くキッドにしてやられてしまうのだろう。
そんな謎の自信がある私は、一体どちら側の人間なのか。
……さぁ、今日の快斗くんは一体どんな手法で私達を欺いてくれるのかしら。
期待に胸を膨らませて、絡繰箱の待つ図書館へと私は足を踏み入れた。