• テキストサイズ

【名探偵コナン】sangría

第38章 執行人とその後


【降谷side】


我ながら幼稚な反応をしてしまったとは思っている。
正直、容姿を褒められるなんて慣れたもんだと思っていた。昔からことある事に言われてきたから。

だから、あの反応には自分が1番驚いていた。
こっちはあれほど動揺したってのに、どうしたって崩すことの出来ないに悔しさを感じてキッチンに逃げてきたんだ。


数本の空き缶を全て潰して袋に入れ、すぐそこに置いてきたを見やる。
このままやられっぱなしは癪だ。

……さて、どうやって仕返してやろうか。


そんなことを企む僕とは裏腹に、床に寝そべっているはピクリとも動かない。さっきまではあんなに騒いでいたのに。
まさかと思って近づくと、案の定スースーという規則的な寝息が聞こえてきた。


ったくこいつ、騒ぐだけ騒いで片付けもせずに寝やがった。

うつ伏せ状態のを仰向けにしてやる。
そのまま床に放置してやっても良かったが、それはそれは気持ちよさそうな寝顔を見せられてはそんな考えも失せるものだ。

思わず手の甲で頬を撫でると「…へへ」という声とともに若干口の両端を上げた。


……そんな反応1つで、ついさっきまで考えていた仕返しなんてどうでも良くなってしまう。僕も大概、甘い人間なのかもしれない。


寝ているの首下と膝下に手を入れて、ゆっくりと持ち上げる。
軽々持ち上げられたという事実を起きてるに話したら「私だってちゃんと鍛えてるのに…」といじけることだろう。そんな姿を想像して、それでさえも愛おしいと思ってしまう僕は相当重症らしい。


寝室まで運び、ベッドの上にを降ろした。起こさないように、そっと。
/ 510ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp