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【名探偵コナン】sangría

第38章 執行人とその後



「……ローアングルでここまで顔が整ってるのすげぇな」

「…何だって?」

「いやさ、この角度から見てもイケメンなのはもはや国宝級だと思うんよ」


こいつ、急に何言ってんだ…って顔しないで。
だって、下から缶ビールを呷る姿を見ていたら綺麗なエラや喉仏がそれはそれはよく見えてすごく様になっていたんだもの。


「それに、綺麗なブロンドヘアーとツルツルの褐色肌。
背は高いのに顔小さいし、足長いし、タレ目だし、そんで瞳の色はブルーときた。
前から分かってはいたけど、改めて私の同期かっこよすぎ」


お分かりだろうが、私は今結構酔っ払っている。

これでもかとペラペラ饒舌に語っていると、ゼロが片手で私の口を塞いだ。



「……もう…分かったから…、本当に、やめてくれ…」


耳まで真っ赤になった顔をもう片手で覆うゼロ。
え、何その反応。初見なんですけど。



「照れた!ゼロが照れた!!」


覆われた手を振りほどいて、ガバッと勢いよく起き上がる。
こんなレアなゼロを見逃す訳には行かない。近くで目に焼き付けなければ。


「顔赤くなってるじゃん!初めて見たこんな顔のゼロ!
照れててもかっこいいよ!よっ!色男!!」


ほっぺをつんつんしながら中々にウザイ絡みをしていると、下からガッと顎を掴まれた。


「……本気で怒るぞ」


割と強い力で掴まれたため、私は両頬に押されて口をすぼめる形になる。
口では怒ると言っているが、ガンを飛ばしているつもりであろうその目は全くそのつもりがない事なんてお見通しだ。


「へへ、ほんとは嬉しいくせに」


どんなに圧をかけても全く様子の変わらない私に呆れたのか、それとも諦めたのか、ゼロは大きなため息をついてローテーブルの上に乱雑に転がっている空き缶を手に立ち上がった。
そんなゼロに着いていこうとしたが、あまりに立ち上がる気力が湧かなかったためそのまま床に項垂れる。


「まってーいかないでくれーー」


私の声など聞こえてないも同然に、ゼロは黙々と空き缶を潰していく。素手で。
そんないじけた様子でキッチンに立つゼロを眺めていると、途端に眠気が襲ってきた。


ーー……あ、これダメだわ。

抗うことなく、欲に忠実に私は意識を手放した。
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