第4章 青い夏
幸い毒の量が少なかった為命に別状は無く、搬送後には症状も収まったそうだ。
適切な応急処置だったこともあって後遺症の心配もいらないとのこと。
私たちの行動がお役に立てて良かった
青柳さんが無事で何よりだ
ウミヘビは基本、自ら人間を襲うことは無い。
だが、こちらから近づいたり悪戯をしようとすると、保身の為に噛み付くのだ。
もしウミヘビに遭遇しても、焦らずにそのまま過ぎ去れば何の心配も無い。
明日は我が身
知識を持ってしっかりと対処出来るようになることが大切なのである。
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【諸伏side】
日が傾き始めた頃、萩原の運転する車で俺たちは帰路に着いていた。
「何か、今日は色々あったね」
「だな。ちゃんは殴られるわ人は倒れるわ、濃い1日だった」
助手席から夕日で赤く染った海を眺めて、今日あった出来事を思い出す。
海らしいことは全然出来なかったけど、楽しかったな
みんなで出掛けられることなんて中々無いし、それに、海らしいことはまた来年やればいいしね
すると突然、萩原がふっと笑った。
「諸伏ちゃん、後ろ見てみ」
言われるまま後部座席を見てみると、3人が気持ちよさそうに眠っている。
それも、仲良く寄り添いあって。
微笑ましい光景に俺も思わず笑ってしまった
「ちゃんじゃないけどさ、やっぱり俺もお前らとずっと一緒にいたいなって」
萩が徐にそう語り出した
「奇遇だね、俺もだよ」
そう返すと、顔を合わせて笑いあった
夕陽に照らされた俺たちの頬は、海みたいに赤くなっていた気がした___