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【名探偵コナン】sangría

第43章 消失



目覚めた時には、日は完全に落ちていた。

床に手を付き、ゆっくりと体を起こす。
頭痛はすっかり治まり、霧が晴れたように記憶もはっきりしている。
壁のスイッチを押すと、白い光がらを照らした。
つけっぱなしのテレビからはワイドショーの賑やかな声。テーブルの上には冷えきったコーヒーがぽつんと残っている。

足元に落ちているジャケットを拾い上げた。
軽く埃を払って、改めて手に取る。
息を大きく吸って、吐いて、ゆっくりと抱きしめる。


「……よし」


短く呟いて、手元のジャケットをクローゼットの奥にしまった。
冷たいコーヒーを一気に飲み干し、カップを洗う。
空腹を感じて、そのまま夕食の支度に取り掛かった。
凝ったものを作る気はない。フライパンひとつで済む簡単な料理を手早く仕上げる。油の弾ける音が小気味よく響いた。
出来上がった皿をテーブルに置き、椅子に腰を下ろす。


「いただきます」


1人しかいない部屋で両手を合わせた。
テレビは相変わらず騒がしい。
一口ずつ確実に咀嚼して、完食した。
食器を洗い、乾燥台に並べる。
やるべきことを淡々と終え、仕事用のデスクに向かった。

そこにあるのは、開いたダンボールとメッセージカード。
伝票に記載されている住所は、恐らく偽造。
カードの筆跡も本人のものかは分からない。

でも、今の私にはこれしかない。

カードを手に取り、しずかに机に置く。
明日はこのカードを科捜研に持ち込む。
指紋が残っているとは思えないが、インクや紙質など何かしらの手掛かりがあるかもしれない。

次の休みには伝票の住所へ行く。
配達営業所にも足を運び、記録を確認する。

時間が出来た時にはポアロへ行く。
今日のあの様子を見るに、梓さんはきっと何か知っている。
そうでなくとも、あの喫茶店へ通えば彼の現状を把握する手立てが掴めるかもしれない。

誰の手も借りられない。
手持ちの情報はあまりにも少ないけど、それでも突き止めてやる。
刑事は足で───なんて、かつてを思い起こした。

絶対に、また見つけだす。
あなたがどこにいても、私が、必ず───。
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