第36章 女の秘密
「はぁ……全く、は自分を卑下しすぎだ。
ジョディがに怒るわけが無いだろう。寧ろずっと心配していたぞ」
「えっ…」
そんなの初耳だ。
あの日以来ジョディからも連絡が来ないから、てっきり私の言動に怒っているものとばかり思っていた。
でも確かに、あの優しいジョディのことだ。沖矢さんの言う通り、私の置かれている状況を心から心配している姿が容易に浮かぶ。
だからこそ……、
「私がジョディの秘密を聞く資格なんてないんです」
沖矢さんはそう言う私をチラッと横目で見てから、いつの間にか付けていたイヤホンで誰かに電話をし始めた。
人が話をしているのに電話だと?
ま、いいけどさ。
「俺だ。突然だが、明日の予定は?
いや、どうやらがお前と話をしたいそうでな」
ん?何言ってんのこの人。
てか誰に電話してんの?
「あぁ。分かった、伝えておく」
たった三言四言で終わったその電話の相手は、一体誰だったのか。
……ちょっと嫌な予感がするんだけど。
「……あの、今の電話の相手って…?」
「ジョディだ」
嫌な予感というものは、当たってしまうのが世の理である。
「一言言わせてください。………何してくれてんですか」
「見てて焦れったいんだよ。こうした方が早いだろう?」
「そういうことを言ってるわけではなくてですね」
「ここまでは手伝ってやったんだ。後は自力で頑張るんだな」
私の言葉なんてお構い無しかよ。
……でもまぁ、確かにだいぶ甘やかしてはもらった。もう逃げられない所まで用意してくれたんだ。
自分でちゃんと向き合わないと。
「……分かりました、頑張ってみます」
そう言った後、聞こえるか聞こえないかの声量で「ありがとうございます」とボソッと呟いた。
「ふっ、そういう律儀なところ嫌いじゃないぞ」
バッチリ聞こえていたらしい。
若干のむず痒さを感じて、窓の方へとぷいっと向いた。
「は何でも器用にこなすくせに、こういう所は不器用極まりないな」
「うっさいです」