第4章 青い夏
「俺は救急車」
「僕らは倒れた男性の対応」
「私は友人の聴取」
「じゃあ俺はレスキューキッドの要請かな」
現場に到着したら、まずは状況をみて安全確認。その場に居合わせた人物がいる場合、パニックに陥っている場合もあるため、落ち着かせてから聴取。集めた情報から現状を冷静に判断し、適切な対処を早急に行う。
何度も叩き込まれた警察官の基本だ。
「大丈夫です、落ち着いて。まずは深呼吸をしましょう」
青ざめた顔の彼に声を掛ける。
こちらが焦ってしまっては相手の心配を煽るだけ。
落ち着いた様子で話しかければ、自然と相手も落ち着いてくれる。
「お名前は?」
「さ、佐々木健人です。あいつは青柳拓馬」
「佐々木さん、ゆっくりでいいので状況を聞かせてもらってもいいですか?」
「はい
今日、俺と拓馬の2人で海に来てたんです。
さっき昼飯を食べ終わって、よし海に入るぞったなったら後ろで急にこいつが倒れて。
急いで駆け寄ったら、顔色は悪いし呼吸は荒いしで、俺パニクっちゃって
何度も声掛けてたんですけど、反応ないし、ずっと苦しそうで」
「青柳さん、朝から体調悪かったとか?」
「多分違うと思います。倒れる前まではめっちゃ元気にはしゃいでたので」
「彼があなたの前で倒れたのは初めてですか?」
「はい。こいつ、病気とか怪我とか全然無くて、最後に風邪を引いたのも小3だって自慢してたんで」
体調不良でも発作でも無いとなると、考えられるのは…
「弛緩性麻痺、呼吸困難、そして足に小さい傷が二つ見られた。
恐らく、ウミヘビか何かに噛まれたのだろう」
そう、“爬虫類等による毒”だ。