第35章 新曲
「おや、来たみたいですね」
「え、他にも誰か呼んだんですか?」
「呼んだと言うより、あちらから来てくれたんです。
人数はいた方がいいですからね」
誰だろう?と考えていると、書斎のドアからひょっこりと女子高生達が顔を覗かせた。その後ろには例の如く少年もいる。
「あら!蘭さんと園子さん!それにコナンくんも」
「あれ、さんなんでいるの!?」
園子さんが驚きながら駆け寄ってきて、蘭さんとコナンくんも後を追うように書斎に入ってきた。
「沖矢さんにどーうしてもって頼まれたから、仕方なくお掃除を手伝ってるのよ」
「おや、さんもノリノリのようでしたけど?」
「そ、そんなことは……」
無くないけどさ。
「それより、さんと沖矢さんってお知り合いだったんですね!」
「確かに!意外な組み合わせかも。
え、なに!?まさか2人ってそういう関係!?」
「え?」
「いや、残念ながら僕の片思いなんですよ」
沖矢さんのこの一言に、2人はポッと頬を赤らめた。
一瞬なんの事だか分からなかったが、その意味をすぐに理解して沖矢さんを睨む。
「あの沖矢さん、揶揄わないでくれます?
2人も、これ冗談だからね。こういう人の言うことは信じちゃダメ」
小っ恥ずかしいこと言って、この人本当に赤井さんか?
全く、マスクとメガネをつけるとほんっと別人になるんだから。
「なぁーんだ。
まっ、さんにはあの人がいるもんね!」
「あの人?」
ハテナな私の耳元に園子さんが顔を寄せて「あ・む・ろ・さん♥」と呟いた。その言葉にバッと顔を向けて「だからそれは違うって!」と叫ぶ。
そんな私の反応を見てニヤニヤ顔の園子さん。
「おや、僕の他にも男がいたなんて。酷いですよさん」
「もう、沖矢さんも乗っからないでくださいよ!
それについこの間…ーー」
ーー……喧嘩したばっかりだし。
とは言えず、そのまま口ごもってしまう。