第34章 悪夢のつづき
「もう、さっきから何探してるんすか」
「ヘリコプターの破片」
「えっ、へ、ヘリコプターの破片?まさかそれをこんな瓦礫まみれの中から見つけるつもりですか?」
「ガトリングの弾でもいい」
「いやいや、そんなの干し草の中で縫い針を探すようなものじゃないですか。流石に無理あるでしょ」
「あっ!!あった!!!」
「まじすか」
そこには、ヘリコプターの機体のものと思われる5センチメートル程の黒い破片があった。その他にも空薬莢が3つだけみつかり、これも恐らくはあのガトリング砲のものだろう。
「ほら、探してみるもんでしょ?」
「まぁ確かに凄いですけど…、でもこれがさんが見たって言うヘリのものかどうかは分からなくないですか?」
「だから、とりあえずこれを科捜研に持ってって詳しく調べてもらうの!青柳の言う通り全く見当違いのものかもしれないけど、これがもしあのヘリコプターのものならそれがどこ製なのか、もしかしたら個体まで判別出来るかもしれない」
「そんな小さな破片と空薬莢3つでそこまで調べられますかね?」
「もう、細かいことはいいの!とにかく、善は急げよ!」
そう言いながら、私は車に青柳を押し込んで早急に帰庁した。
しかしその道中、
「ねぇ、あの車さっきもいなかった?」
「え、どれですか」
「ほら、3台後ろの。しかもうちの公用車に似てるし」
「うーん、気のせいじゃないすか?よくある車種ですし」
「え〜そうかな…?」
ミラー越しに見えるその車は、やはり明らかに不自然だ。
私たちのすぐ後ろならまだしもさっきからずっと3台後ろをキープしながら走行している。どうやっても尾行されているようにしか思えないんだけどな。
「やっぱり変だよあの車」
「気になるなら、試しに何回か左折してみますか?4回ついてきたらビンゴですね」
「いや、私たちが尾行に気づいてることを気付かれたくない。何回も左折したら、流石に向こうも離脱しちゃうでしょ」
もし私たちが尾行に気付いていると気付かれて、相手が逃げてしまったらその目的も分からずじまいだ。それは避けたい。