第4章 青い夏
その後、ペコペコに減ったお腹を満たすため、ヒロとゼロが買ってきてくれた焼きそばを頬張る。
やっぱり、海で食べる焼きそばは美味いな
「なんかさ、海を満喫出来てなくない?」
食べながらふと思った
せっかく海へ来たというのに、これといった楽しいことを何一つしていない気がする
「そりゃ、どっかの誰かは男に喧嘩ふっかけるし、どっかの誰かは女の尻追っかけ回すし、どっかの誰かは女に追っかけ回されるからだろうな」
「陣平ちゃん人聞きが悪いぞ」
「別にお前とは言ってない」
「僕だって、好きでやってる訳じゃない」
「お前は自覚あるのかよ憎たらしいな」
「なんだと」
「こら、松田もゼロも落ち着いて」
そもそもこいつらと海へ来ること自体が無謀だったのかもしれない
ゼロと松田が取っ組みあっていて、ヒロが間に入ってそれを止めており、萩は笑いながらそれを眺めている。
この光景を見れば誰しもきっとそう思うだろう
「はあ、来年は伊達も連れてこなきゃダメだな」
何気なくそう発すると、途端に4人が動きを止めて私の方を見た
「え、何?」
「いや、来年は来れないんじゃない?海」
「なんで?」
「なんでって、俺ら来年はド新人のペーペー警官だぜ?」
「夏に海へ来る余裕も時間も無いだろ」
まあ、確かにそうだけど、
「じゃあ再来年来ればいいじゃん。それがダメなら、別にいつになったっていいし」
ポカーン
そんな音が似合う間抜けな顔の4人
私変なこと言った?
「ちゃんってさ、俺らのこと大好きなのね」
「はぁ?!なんでそうなるのよ!!」
「だって、来年も再来年も俺らといるのが前提な話し方だったよ」
確かに、警察官は異動も多いし、その部によって行動範囲もまちまちだ。
命の保証だってない。
それでもこいつらとは、来年も再来年も、何ならこの先ずっと、今と変わらずに馬鹿なことをやっている気がする
根拠は無いけど、そう確信している
「そうだけど、何か文句ある?」
再びポカーン
4人揃って口を開けたまま動かない