第4章 青い夏
「いや、こちらこそ怖がらせちゃってごめんなさい
怪我はない?」
「私は平気です!
それより、ほっぺ大丈夫ですか?」
「ああこれ、全然大丈夫!怪我には慣れてますから」
「そ、そうですか、
助けていただいて本当にありがとうございました」
「いいえ、可愛らしいあなたに怪我が無くて良かった
どうぞご安全に、海を満喫してね」
そう微笑むと、彼女は顔を赤らめ、俯いてもう一度小さく「ありがとうございます」と言って走り去っていった
「こりゃ完全に惚れられたねちゃん」
「うわぁ!!」
突然後ろから話しかけられたと思えば、ジュースを両手に持った萩と松田が立っていた
「なんだあんたらか」
「うわ、派手にやられてんな」
「ありゃりゃ、ほっぺ大丈夫?」
「痛い?」と言いながら私の頬にそっと触れる萩と「あいつら絞めるか」と言いながら指を鳴らす松田
洒落にならないから是非やめて頂きたい
「ーーー!!!」
向こうからヒロとゼロが両手に焼きそばを抱えて走ってきた。
「焼きそば遅すぎ。もうお腹ペッコペコだわ」
「遅くなってごめん、じゃなくて!!
一体何があったの?いかつい男の人に絡まれてたからびっくりしたよ!!」
「その頬、殴られたのか?」
「まあね、でも大した事ないよ」
「大した事ないって、女の子が顔に傷作っちゃダメだろ!」
「殴った男の名前と特徴は?
絶対に捕まえてやる」
焼きそばを萩に預けて私の顔を両頬から掴むヒロと、松田と同様物騒なことを言うゼロ
だから、あんたらが言うと冗談に聞こえないんだって
「いやいいって、問題起こしたら即クビだよ?」
「いやもう十分起きてるよ!」
「こっちから手は出てないからセーフ!
せっかく穏便に済んだんだから蒸し返さないでよ」
「穏便って…」
殴られたくらいでみんな大袈裟だな
警察官なんて傷を作ってなんぼだろうに
「これは班長に報告だな」
「え、伊達に…?」
ヒロめ、なんて恐ろしいことを
伊達に報告されたら絶っ対にめちゃめちゃ叱られる
どうかそれだけは避けたい…
「で、でもさ?無事女の子を助けられたんだし、」
「いや、これは報告だ」
くそ、ゼロまで…
「これに懲りて、喧嘩はふっかけない事だな」
「松田、あんたにだけは言われたくない」