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【名探偵コナン】sangría

第33章 純黒の



電話口を手で押えて子供たちの方を向き直った。


「みんなどうやって帰る?本当は私が送ってあげたいんだけど…」

「ボク達小五郎のおじさんの車で来たから大丈夫!多分駐車場で待ってると思うし」

「そう、それなら良かった!じゃあみんな、ほんっとーうに気を付けて帰ってね!」

「「「はぁーい!」」」


返事が元気なのはよろしいが、全くこの子達は信用ならないからな。
まぁ、毛利さんがいるなら心配ないか。


そうして子供たちに手を振って別れ、再び電話を耳に当てた。


「お待たせしました。どこに行けばいいでしょう?」

『人混みから外れた、屋内施設の奥の叢にいる』

「く、叢ですか?」


これまた変な所にいらっしゃる。


電話を切ってから言われた通り屋内施設の奥の叢へ向かう……と、その前に、


「あのすみません。簡易救急箱みたいなのってお借り出来ます?」


救急隊の方にお願いして救急箱を借りた。
きっと、あの人も怪我をしているんだろうから。


















言われた通り奥の植込みを掻き分けていると「」と呼ばれ、その方へと振り返る。
そこには暗闇に同化するかの如く全身真っ黒な赤井さんと、大きなライフルがあった。


「あー、だから人目から遠ざからなきゃいけなかったんですね」

「あぁ、生憎ケースがドカンしたもんでな」


そんな立派なライフルを裸で持っていたら目立つ所の話では無いだろうな。


「あの、一応ここ日本ですからね?アメリカと違って立派な銃刀法違反です」

「やむを得んだろう」

「はぁ…まぁ実際そのお陰で多くの人が救われたんでしょうし、今回だけは見逃してあげます」


そのまま赤井さんのそばに腰を下ろして、救急箱を開いた。


「座ってください。怪我の手当てしますから」

「…俺は怪我をしたと言ったか?」

「赤井さんの事だから、どうせコナンくんと一緒にいたんでしょう?あの観覧車を止めるために。
そうすれば怪我の1つくらいしてるだろうと思いまして。
ほら、顔出してください」


言われた通りに座り、無抵抗に顔を差し出す赤井さん。
携帯のライトでその顔を照らして確認していく。

いつも警戒を怠らないこの人が私に対しては無防備なの、ちょっと面白いな。
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