第33章 純黒の

「そういう訳にいかないでしょ！
……まさか、あの大きなサッカーボールって君の？」

「あ、あはは…」

「はぁ、図星ね。ってことは、君もあの観覧車の所にいたと。
本っ当に君は毎回毎回……」


私は文字通り頭を抱えた。

確かに、コナンくんのお陰で大勢が救われたのは事実だ。
何も出来なかった私と違って、この子は身を呈して出来る限りのことをやって退けた。
このことに関しては感謝してもし切れない。

だが、だからといって危ないことをしていい理由にはならない！
全く、心配するこっちの身にもなって欲しいものだ。



「いい？今回は大した怪我じゃないから良かったけど、もう危ないことはしないで。次は怪我だけじゃ済まないかもしれないんだから」

「はぁい」

「コナンくんだけじゃないわよ！哀ちゃんも、1人で何でもやろうとしないで！少しは頼って欲しいな」

「……はい」

「3人も、もう危ないことには首を突っ込まないように！」

「「「はぁい…」」」



そうして私はみんなの目線に合わせてしゃがむと、大きく手を開いて全員を抱き締めた。


「でも、本当にみんなが無事でよかった…」


すると歩美ちゃんはニコニコしながらぎゅっと抱き返してくれ、男の子達は少し照れたような顔をしていた。



「あれ、さん電話なってるよー！」

「え、うそ」


そう言われてポケットから携帯を取り出すと、そこには『沖矢昴』の文字。
なんだろう。

私は子供たちに断って電話を取った。


「はいです」

『俺だ。さっきは電話に出れなくて悪かった』

「いえいえ全然。お忙しいんだろうなとは思ってましたから」

『その事なんだが、君に少し会いたい。時間はあるか？』

「あー、今すぐはちょっと厳しいかもです」

『そうか。
……何だか背後が騒がしいな。今どこにいるんだ？』

「東都水族館です」

『っ！？君も東都水族館にいるのか』

「君もって…まさか赤井さんも！？」

『あぁ。なら丁度いい、今から来れるか？』

「えぇ、構いませんけど…
あ、ちょっと待ってください」