第33章 純黒の
そのクレーン車がストッパーの役割を果たしたのか、観覧車はようやく止まったのだった。
「…と、止まった………」
私はその場にへたり込んだ。
辺りからは「止まったぞ〜!!」「やったーー!!」という喜びの声が上がっている。
そんな歓声とは反対に、あのクレーン車は観覧車に潰されて跡形もない。
一体誰が運転していたのか。
……運転手は無事なのだろうか。
その後駆けつけた警察と救急車により、怪我人の救助が行われた。
クレーン車の運転手は、残念ながら死亡しており身元の判別が出来ない状態だったという。
何も出来なかった私と違い大勢の命を救ったその人は、一体何者だったのか。
「…っ!!哀ちゃん!!」
沢山の救急車や人が入り乱れる中、その姿を見つけた私は駆け寄って思いっきり抱き締める。
「く、苦しいさん…」と言われてしまったため、名残惜しくも手を離した。
「怪我は?痛いところはない?」
「ええ、大丈夫よ」
平気そうな哀ちゃんを見て一安心。
私は大きく息を吐いた。
「はぁ、良かった……。
もう、1人で走っていって。本当に心配したんだからね!」
「……ごめんなさい」
まぁ、無事だったから良かったけど。
今回のこと然りベルツリー急行での件然り、この子は毎回1人でいなくなるから目が離せない。
「あ!さーーん!!」
可愛らしい声に呼ばれて振り向くと、歩美ちゃん元太くん光彦くんが揃って駆け寄ってきた。
「あれ、みんなもいたの?」
「おう!
俺ら、あの観覧車に乗ってたんだぜ!」
「え……えぇっ!?か、観覧車に乗ってたの!?」
「はい!」「うん!」
「えっ、ちょっと、大丈夫だった!?怪我はない?」
「いっぱいぐるぐるしましたけど大丈夫です!」
「ピンピンしてるぜ」
「コナンくんが助けてくれたんだもん!」
「え、ちょっと待って、彼もここにいるの!?」
すると今度は、見覚えがありまくりなメガネの少年が「おいおめーら!」と叫びながら駆け寄ってきた。
「たくっ、勝手に居なくなんな……って、何でさんがここにいるの!?」
「それはこっちのセリフ!!
っていうか、コナンくん君擦り傷だらけじゃない!」
「こ、こんくらい大丈夫だよ」