第33章 純黒の
ドォンッ!!!!
突然、空中で爆弾のような物が爆発した。
そして直後、
ヒュルルル……ドッカン!!!!!
1発の大きな花火が上がった。
そうして闇夜が明るく照らされた時、2つのプロペラを持つ大きなヘリコプターがその姿を晒したのだった。
「…何で、今花火が……?」
その時一筋の閃光が夜空を瞬き、次の瞬間ヘリコプターは黒煙を上げながらよろめきだした。
何か攻撃を受けたのか?この状況でどうやって…?
しかし、黒煙が機体からもくもくと立ち上がっても尚ヘリコプターは観覧車へのガトリングを止めない。
まるで、理が非でも何かを仕留めようとするかのように。
そして遂に、ガガガガ…という嫌な音を響かせながら観覧車の車軸が破壊された。
「…ちょっとちょっとちょっと!!嘘でしょ!?」
支えをなくした観覧車は、辺りに土煙を立ち込めながらゆっくりと私達の方へと転がってくる。
きゃぁぁぁ!!と悲鳴を上げながらあちこちに逃げ惑う人々。
まずい、このまま観覧車が転がれば大勢が避難している水族館施設へと突っ込んでしまう。
「待って!!そっちに逃げないで!!!水族館から離れて!!!」
私の叫びも虚しく、大混乱の中みんなが水族館へと走り出していく。
まさに阿鼻叫喚の巷と化していた。
やばい、このままじゃ大勢が巻き込まれる…!!
どうにかして観覧車を止めないと!!
でもどうやって?
高さ100メートルを誇る大観覧車を、どうやって人の手で止めるというのか…?
そうこうしているうちにも、観覧車はどんどん加速して水族館へと近づいていく。
何か手はないのか……!!!
「…っ!?あれって…!!」
転がる観覧車から突如大きなサッカーボールが現れた。
それはどんどん膨らんで更に大きくなっていき、遂には水族館の屋根へとぶつかる程に。
これで加速は防げただろう。
だが、これだけではまだ観覧車は止まらない。
サッカーボールを押し付けながら少しずつ水族館を破壊していく。
破壊音と悲鳴が響き渡り誰もが絶望を感じていたその時、工事中エリアからクレーン車がブーーッ!!!とクラクションを鳴らしながら飛び出してきた。
そのまま観覧車へと突っ込み、必死に観覧車を止めている。